「夢の原点。」プリンセスと魔法のキス ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
夢の原点。
ディズニー・アニメ作品には、オトナのファンも多い。
子供連れのお母さんに混じって、OLさんや主婦層、
中高年親子?的な方々が毎回いる^^;私もだけど。
2003年以来、手描きアニメから撤退していた彼らが、
J・マスカーとR・クレメンツの強力タッグで帰ってきた。
あの温かく優しい躍動感溢れる流麗な動きと表情、
いかに作り手が楽しんで作ったか分かる仕上がり。
歌のパートでは、それぞれの持ち味を発揮している。
3D全盛のアニメ界にあって、手書きの素晴らしさを
伝え、楽しませるのは至難の業かもしれない。
今回の物語には、新しいヒロインの登場と心意気が
溢れ王道のプリンセス物語に新風を吹きこんでいる。
J・ラセターとR・ニューマンが参加しているおかげか。
舞台はニューオリンズ。流れるのはジャズ・ナンバー。
亡き父の夢だった自分のレストランを持つことを自身の
夢として生きてきた黒人のウェイトレスが、ひょんな
きっかけでカエル王子と出逢う。キスをすれば人間に
戻れるという王子を信じてキスをしたら、なんと自分も
カエルになってしまう「カエルになったお姫様」が原案。
今までの王道なら、キスをすれば当然ハッピーエンド。
ヒロインは常に白馬の王子様との幸せな結婚を夢見て、
王子様は完全無欠の美貌と品格を誇るのが特徴だが
夢の実現に向けせっせと働くのが生きがいのヒロインと
女たらしで遊ぶのが大好きな王子という組み合わせが
けっこう面白い。正反対の二人が珍道中の中で互いの
良さを認め合い、補い合うところが微笑ましい。彼らに
手助けをするホタルのレイ、音楽好きのワニのルイス
など、欠かせない動物キャラクターも秀逸の出来栄え。
富豪の令嬢シャーロットの粋な計らいには涙が零れる。
そして今回は「死」をもテーマにしている。
キスをすれば…の例同様に、失われた命は戻らない。
でもその先に訪れる場所。をきちんと描いてみせる。
誰もが幸せにたどり着きたいと願いながら、
なかなか到達できないもどかしさを抱えている現代、
自身の夢=幸福の源なのかを改めて問い直してくれる。
(エンドの歌はNe-Yo、これがまたよく馴染んでる(^。^))