「プリンセス嫌いのためのプリンセス映画」プリンセスと魔法のキス ドラコさんの映画レビュー(感想・評価)
プリンセス嫌いのためのプリンセス映画
本当にもったいない。
「ディズニーのプリンセス映画を見せたくない」という親は意外といるもので、娘が「プリンセス期」に入って、それまで自分たちで選んでいた洋服を頑として来てくれず、プリンセスを感じるフリルや、時にはプリンセスそのものがプリントされた服を着たいというようになると、ため息とともにこの話になる。
多いのは「今時王子様待ち」「結婚してハッピーエンド」ってどうなの?という話だが、そんな人におすすめしているのがこの映画。実際、結構スルーしている人が多く、何となく過去の「ディズニープリンセス映画のイメージ」や「ニューオリンズやジャズと言った渋い世界(それが素晴らしいのに!)」、そして何より「プリンセスと魔法のキス」というタイトルでみんなの食指が動かず、あまり観られていないのではないかと思う。皮肉にも、プリンセス嫌いにこそこの映画はハマるはずなのだ。
素晴らしい世界観。子供だましのコの字もない本気の音楽。生き生きと踊るアニメ。何よりも、クラシックな価値観「星に願いを」&「好きな人と結ばれる女の幸せ」を特に真正面から否定するでもなく、「星に願い、その願いにひたむきに生きよう」「好きな人と、結ばれた後の人生を自分の力で豊かにしよう」と、一歩踏み込んだメッセージにしてくれている。映像としての楽しさや巧みさはともかく、アナ雪よりも力強い映画ではないかと思う。個人的には今の子どもには、こういったアニメ映画こそ見てもらいたい。
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