「パイプと辿る人生」つみきのいえ MAPLEさんの映画レビュー(感想・評価)
パイプと辿る人生
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人生、家族の変化、暮らしが詰まったいえ。温暖化で海面が家に迫っては、家に石を積んで階上に新しい家を作り、住み替えて生活を積み上げてきたおじいさん。家の下には過去の家が積み上がって海の中。
そこに潜ってどんどん下に潜っていくと、家を遡るとともに過去も遡って蘇り思い出が溢れて来る。
1人が夫婦になり、夫婦が家族になり、娘が結婚してまた夫婦に戻り、一緒に過ごしてきた妻を看取ってまた1人のおじいさん。積んである家の大きさが、家族の頃は大きいけれど、新しく家を積むと元より小さい面積になるから、どんどん小さくなっているのがおじいさんの人生と重なる。
寂しそうに見えるけれど、最後に注いだワインはおばあさんの分と2人分。この人生一緒に色々あったねって事なのかな。若き日のおじいさんとおばあさんで一緒に積んだ事もあった家の上に、今のおじいさんの暮らしは成り立っている。
海面上昇のために、昔おばあさんと走り回った野原はもう深い海の底で、家の周りは全部海。人との交流にも船が必要。そういう世界にして良いものか、考えさせられる。一方、海面上昇の設定があるから、おじいさんの人生の変化が縦に詰まれてわかりやすい。
終始色鉛筆のタッチがおだやかな懐かしさと寂しさを表現していて、俯瞰で描かれた街の風景は海バージョンのスノーマンや、魔女の宅急便を彷彿とさせる。
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