「なぜ宇宙へと向かうのか?無限のフロンティアに向かうROCKETMANたちの勇気と情熱を浮き彫りにした作品でした。」宇宙(そら)へ。 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
なぜ宇宙へと向かうのか?無限のフロンティアに向かうROCKETMANたちの勇気と情熱を浮き彫りにした作品でした。
『アース』の次にBBCドキュメンタリーが選んだテーマは、宇宙でした。
昨年ほぼ同じテーマの『ザ・ムーン』を見ました。両方共にNASAの蔵出し映像を編集した作品ですが、比べると『ザ・ムーン』は12人の宇宙飛行士にスポットを当てて、インタビューが中心で、テンポは前半饒舌な感じがしました。但し彼らが語る美しい星々を創られた造物主の存在についてのコメントは凄く感動したものです。
本作でも、宇宙の神秘はラストに語られます。でもむしろ無人飛行実験の時代から累々と積み上げ、宇宙開発の辿ってきた軌跡をテンポ良く綴っていくことで、無限のフロンティアに向かうROCKETMANたちの勇気と情熱を浮き彫りにした作品でした。
しかし挑戦に伴うリスクも余すところなく描かれます。
何度も繰り返し描かれる、打ち上げ失敗シーンは本物だけに凄い迫力です。そして有人宇宙船の事故には、凄く心が痛みました。
特に2003年のコロンビア事故の時は、直前までクルーが、母星の景色に感動してコメントするシーンの直後だっただけにショックでした。
こうした幾多の挫折を乗り越えてでも、人類がなぜ宇宙へ行かねばならないのか?その問いかけに、力強く答えているところが良かったです。
最後のテロップには、NASA Has Dream com soonとあったのが印象的です。
NASAが記録した膨大な映像は打ち上げシーンだけでなく、宇宙船内部の宇宙飛行士の表情や、打ち上げを見守る観客達の様子も克明に記録されていました。それらを細かいカット割りでつなげていった本作は、ドキュメンタリーでありながら、ストーリー性があり、飽きが来ません。むしろ、次々に変わっていく場面展開に引き込まれていきました。
日本語版では、ナレーションを担当する宮迫博之が、コメディアンとは思えない、渋い声で解説。画面に深みを添えていました。
またゴスペラーズの主題歌も良かったです。
最後に、これまでの宇宙開発で、科学の礎として命を落とされた方のご冥福をお祈りします。