空気人形のレビュー・感想・評価
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監督のメッセージが伝わらないわけじゃないけど
映像は洗練され、役者も良い(特に板尾氏)。ラストも納得。
けれど、今ひとつノれなかった。空気人形の過剰なピュアに、食傷気味。なまじペドゥナが巧いだけになおさらだった。
意志を持った人形が、性の道具としてでなく、人から必要とされたいと痛烈に願う。
じゃ、その男ウケ狙いむきだしを、まずやめては。コスプレやヒラヒラのミニスカ、内股のちょこちょこ歩き、スキップ、たどたどしく「あなたになら何されてもいい」完全に漫画の妄想系ロリータキャラである。
美少女のダークファンタジーといえば、アカデミー賞受賞作『パンズラビリンス』あの主人公も、それは可愛かった。可憐な姿や幼い言動は、確かに無垢を際立たせるだろう。
ただ、映像に合わせるあまり、心理が矛盾してはいけない。美少女は、人任せの受け身な生き方をやめたのだ。ミニドレスより、例えばジーパンを一回でも着れば、その哀しみがよりリアルだったと思う。
『パンズ〜』で、ドレスを泥んこにして闘うオフェリアに比べ、砂場でも野宿でも汚れない空気人形の隙の無さ…
周囲の人間も、服と同じ役割をする。通りすがりの過食症の女、お局OL、ヲタク、父子家庭などが人形と何度も対比され「ねえねえ、このコ純粋でしょ?」「ピュアでしょ?」「健気でしょ?」確認の声が聞こえてきそう。
見かけだけキレイに整え、無垢をアピるほどに野暮ったく見えてしょーがない。身もふたもなくてすみませんが。
ドキドキ
共感
2009年No.1のエロティックなシーンを見逃すな
艶めかしく神々しい
自ブログより抜粋で。
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華やかな都会のイメージからはほど遠い、どこか時の流れから取り残されたような東京の下町をたゆたうように切り取った美しい映像と、ペ・ドゥナの圧倒的な魅力が目に焼き付くラブ・ファンタジー映画の傑作。
「ラブ・ファンタジー」と言ってしまうと、かわいらしいペ・ドゥナのメイド服姿からも、ほんわかとした楽しいメルヘン映画を想像してしまうだろうが、内容的にはもっとずっと辛辣。
また、映倫の「R15+」指定が物語るように、生々しい性描写も少なくない。
寂しくも哀しい、現代を生きる人々に巣くう孤独と喪失感に胸を締め付けられる、まさに大人のための“毒”のある寓話だ。
しかしそれでも、この映画にはどこか心安らぐ優しい空気が漂い、満たされることのないこの世界にも「キレイ」はあると実感させる不思議な力がみなぎっている。
それは有形無形問わず、人々が関わり合いながら生活する、普遍的な人の営みを肯定的に捉えようとする、あたたかい視線がそう感じさせるのだろう。
すべてをさらけ出した熱演で心を持ってしまった空気人形役に挑んだペ・ドゥナがとにかく素晴らしい。
ビニール製の空っぽの身体、そこに宿った赤ん坊のように純粋無垢な心。
彼女の一挙手一投足は人形そのものなのに、ほかのどの登場人物よりも表情豊か。
一見孤独感に埋め尽くされたかのようなこの世界が、そのガラスのような大きな瞳には、いかに「キレイ」に見えているかを体現していて感動的だ。
幼子のように興味津々で街を歩くぎこちない仕草に始まって、恋にときめく笑顔、初めての恥じらい、愛する人とともにいる喜び、悲哀、迷い、とまどい、切なさ、と、めまぐるしく変わるその表情は、まるで幼女から少女、少女から大人の女性へと成長する人生の縮図を見ているかのようでもある。
ことに、ひょんな事故で空気の抜けた身体に好きな相手から息を吹き込まれたときの彼女の恍惚とした表情が絶品で、かくも艶めかしく神々しい。
それは言うまでもなくメタファーとしてのセックスなんだが、恥じらいの中に浮かび上がるエロティシズムと同時に、愛される女性の悦びをこれほどまでに大胆且つ美しく見せた女優をほかに知らない。
気合いの入った演出も相まって、不完全な本当の姿を見られたとまどい、スカートを捲し上げられる恥じらい、瀕死の状態から救われる安堵、愛する相手から満たされる悦び、それらの感情が渾然一体となってほとばしるこのシーンは、映画史上屈指の甘美な名シーンとして語り継がれるだろう。
良かった。
悲しい内容なのに、映像は透明感あふれて・・・
う~ん、なんて言ったらいいんだろう・・・
内面が満たされている人間なんて、この世にいるんだろうか。
みんな空っぽな部分をどこか抱えているんですよねぇ・・・
みんな、誰かの代わりじゃなく “オンリー・ワン” になれることを望んでいて・・・
「誰も知らない」でも思ったのですが、悲しくて悲しくて涙が出てきても、やっぱりこの監督の映像は、光を透した美しさにあふれていて、せつないです。
光のせいで、重々しくはならないけど、せつないです。
ペ・ドゥナ演じる〈のぞみ〉がガラスに惹かれるシーンが、あどけなく、かわいらしく、またせつない・・・せっかく、せっかく心を持ったのにね。
薄いシフォンのワンピースが光の演出効果をあげていました。
最後に。ショックだった場面の羅列をーーーーーー
*冒頭の板尾のベッドの演技。
*人形の構造を知らなかったので女性から観るとちょっと引いた。
*「時効警察」でいい味だしてた、ほのぼのおじさん岩松了。
また似たような役やってんなぁと安心して観ていたら、途中でちょっと嫌いになるようなシーンがあった。いちいち、役で反応するのは間違っていると思うけど、ああいうのは生理的に受け付けない。
観終って、ちょっとボーっとしてしまいました。
ちょっと、考えてしまう映画ですね。
世界と繋がる喜びと悲しみ。 個人的に本年度No.1作品。
心を持った人形は、空気だけで満たされた自身の体を忌み嫌って言った。
「私、空っぽなの」
それを聞いた孤独な老人はこう答えた。
「奇遇だねぇ、私も空っぽなんだ」
心を持った人形を通して見えてくるのは、泣き出したいほどの虚無感に苛まれる僕ら自身の姿だ。
沢山の人々が同じ不安を抱いて生きている。自分みたいな奴を必要としてくれる人間が、果たしてこの世にいるのか。自分は所詮、誰かの代用品に過ぎないんじゃないのか。
世界に必要とされたい。誰かにとって特別でありたい。誰かを満たし、満たされたい。この映画の登場人物は皆そんな思いを抱えているが、世界=他者と繋がる方法が分からない。もはや繋がる事を諦め、孤独に甘んじる者ばかりだ。
人形を演じるペ・ドゥナは人と繋がる喜びと悲しみを全身で体現。“女優根性”なんぞという言葉を軽く飛び越えた、魂のこもった演技で魅せる。その周辺の人々を演じるキャストも皆、恐ろしいほどハマっている。朝方の澄んだ空気のような、透明感のある美しい映像や優しい音楽も素晴らしい。
飛び上がりたくなるほどの歓喜と、心の奥底を抉られるような深い悲しみとが同居した傑作。個人的には、現時点での本年度No.1作品。
色んなことを考えさせる
劇中詞も重要なメッセージ
ラブストーリーかな?
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