空気人形のレビュー・感想・評価
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空気を抜かれたよう・・・
美しい。
金木犀の香りが漂う季節に、大雨あがりのある日の午後 見ました。
風雨後の寂しい心境と相まってこの映画。。。映画館を出た時には、もうどうしようもなくて。。。
忘れられない。
2009年No.1のエロティックなシーンを見逃すな
是枝監督が、デビュー作の「幻の人形」以来の原作ものに挑んだ本作は、その存在感とビジュアルが極めて映画的なミューズ、ペ・ドゥナの文字通り体を張った熱演もあって、2009年No.1のエロティックなシーンを実現している。
中でもとある事故から空気が抜け出してしまった主人公の空気人形に対して、彼女が思いを寄せるアルバイト先の先輩が空気を吹き込むシーンは、そんじょそこらのベッドシーンでは到底叶わないエロチシズムが満ちていて必見。是枝監督が新たなステージに踏み出した一作だと思う。
艶めかしく神々しい
自ブログより抜粋で。
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華やかな都会のイメージからはほど遠い、どこか時の流れから取り残されたような東京の下町をたゆたうように切り取った美しい映像と、ペ・ドゥナの圧倒的な魅力が目に焼き付くラブ・ファンタジー映画の傑作。
「ラブ・ファンタジー」と言ってしまうと、かわいらしいペ・ドゥナのメイド服姿からも、ほんわかとした楽しいメルヘン映画を想像してしまうだろうが、内容的にはもっとずっと辛辣。
また、映倫の「R15+」指定が物語るように、生々しい性描写も少なくない。
寂しくも哀しい、現代を生きる人々に巣くう孤独と喪失感に胸を締め付けられる、まさに大人のための“毒”のある寓話だ。
しかしそれでも、この映画にはどこか心安らぐ優しい空気が漂い、満たされることのないこの世界にも「キレイ」はあると実感させる不思議な力がみなぎっている。
それは有形無形問わず、人々が関わり合いながら生活する、普遍的な人の営みを肯定的に捉えようとする、あたたかい視線がそう感じさせるのだろう。
すべてをさらけ出した熱演で心を持ってしまった空気人形役に挑んだペ・ドゥナがとにかく素晴らしい。
ビニール製の空っぽの身体、そこに宿った赤ん坊のように純粋無垢な心。
彼女の一挙手一投足は人形そのものなのに、ほかのどの登場人物よりも表情豊か。
一見孤独感に埋め尽くされたかのようなこの世界が、そのガラスのような大きな瞳には、いかに「キレイ」に見えているかを体現していて感動的だ。
幼子のように興味津々で街を歩くぎこちない仕草に始まって、恋にときめく笑顔、初めての恥じらい、愛する人とともにいる喜び、悲哀、迷い、とまどい、切なさ、と、めまぐるしく変わるその表情は、まるで幼女から少女、少女から大人の女性へと成長する人生の縮図を見ているかのようでもある。
ことに、ひょんな事故で空気の抜けた身体に好きな相手から息を吹き込まれたときの彼女の恍惚とした表情が絶品で、かくも艶めかしく神々しい。
それは言うまでもなくメタファーとしてのセックスなんだが、恥じらいの中に浮かび上がるエロティシズムと同時に、愛される女性の悦びをこれほどまでに大胆且つ美しく見せた女優をほかに知らない。
気合いの入った演出も相まって、不完全な本当の姿を見られたとまどい、スカートを捲し上げられる恥じらい、瀕死の状態から救われる安堵、愛する相手から満たされる悦び、それらの感情が渾然一体となってほとばしるこのシーンは、映画史上屈指の甘美な名シーンとして語り継がれるだろう。
良かった。
ほんとに良かった!
今年見た映画の中で今のところ1番!
とにかくペ・ドゥナの空気人形が可愛らしかった!
切なくて、悲しくて、不思議な恋愛映画。恋愛映画をあまり好まない私には最後がまた心地良かった。
見終わった後も当分は余韻に浸ってた。
是枝作品で1番好きかも。
悲しい内容なのに、映像は透明感あふれて・・・
う~ん、なんて言ったらいいんだろう・・・
内面が満たされている人間なんて、この世にいるんだろうか。
みんな空っぽな部分をどこか抱えているんですよねぇ・・・
みんな、誰かの代わりじゃなく “オンリー・ワン” になれることを望んでいて・・・
「誰も知らない」でも思ったのですが、悲しくて悲しくて涙が出てきても、やっぱりこの監督の映像は、光を透した美しさにあふれていて、せつないです。
光のせいで、重々しくはならないけど、せつないです。
ペ・ドゥナ演じる〈のぞみ〉がガラスに惹かれるシーンが、あどけなく、かわいらしく、またせつない・・・せっかく、せっかく心を持ったのにね。
薄いシフォンのワンピースが光の演出効果をあげていました。
最後に。ショックだった場面の羅列をーーーーーー
*冒頭の板尾のベッドの演技。
*人形の構造を知らなかったので女性から観るとちょっと引いた。
*「時効警察」でいい味だしてた、ほのぼのおじさん岩松了。
また似たような役やってんなぁと安心して観ていたら、途中でちょっと嫌いになるようなシーンがあった。いちいち、役で反応するのは間違っていると思うけど、ああいうのは生理的に受け付けない。
観終って、ちょっとボーっとしてしまいました。
ちょっと、考えてしまう映画ですね。
世界と繋がる喜びと悲しみ。 個人的に本年度No.1作品。
心を持った人形は、空気だけで満たされた自身の体を忌み嫌って言った。
「私、空っぽなの」
それを聞いた孤独な老人はこう答えた。
「奇遇だねぇ、私も空っぽなんだ」
心を持った人形を通して見えてくるのは、泣き出したいほどの虚無感に苛まれる僕ら自身の姿だ。
沢山の人々が同じ不安を抱いて生きている。自分みたいな奴を必要としてくれる人間が、果たしてこの世にいるのか。自分は所詮、誰かの代用品に過ぎないんじゃないのか。
世界に必要とされたい。誰かにとって特別でありたい。誰かを満たし、満たされたい。この映画の登場人物は皆そんな思いを抱えているが、世界=他者と繋がる方法が分からない。もはや繋がる事を諦め、孤独に甘んじる者ばかりだ。
人形を演じるペ・ドゥナは人と繋がる喜びと悲しみを全身で体現。“女優根性”なんぞという言葉を軽く飛び越えた、魂のこもった演技で魅せる。その周辺の人々を演じるキャストも皆、恐ろしいほどハマっている。朝方の澄んだ空気のような、透明感のある美しい映像や優しい音楽も素晴らしい。
飛び上がりたくなるほどの歓喜と、心の奥底を抉られるような深い悲しみとが同居した傑作。個人的には、現時点での本年度No.1作品。
色んなことを考えさせる
最初はべ・ドゥナが出ると聞いて期待してました。
しかしラブストリだと聞いたのですが、
怖い話しではないかと思いました。
色んな人達が登場してその方達の生活を見せてくれる
場面は何を意味するのが最初は全然分かりませんでした。
でも後で考えてみると人って皆悩みを一つは持っているけど
頑張って生きてるんだと思いました。
人形は人の生活、言葉などは知りません。
マネするのですが、それは本当の人間と言えるのでしょうか?
そして私達がどんな人生を過ごせば良いか考えさせる映画でした。
劇中詞も重要なメッセージ
幼い娘と暮らす販売員、老いを受け入れられない受付嬢、
オタクの浪人生、過食症のOL、死を待つ老人、陽気な店長…。
そして、空気人形と暮らすファミレス店員、
空気人形に出会ったレンタルビデオ店員。
そこに空虚感を秘めた「東京」が浮かび上がる。
闇と輝きが混在する縮図の中で、心を持った空気人形。
人と人のつながりとはいったい何なのか。
人間とは?生きるということは?生命とは?
純真がゆえに嬉しくて、純真がゆえに哀しい物語。
ラブストーリーかな?
R指定になるのは納得。
恋をしたために、心を持った空気人形と人間の純粋なラブストーリーって言うキャッチのわりには、空気人形としての描写がリアル。
だからこそ、孤独感が伝わるのかもしれないけど、ラブストーリーじゃなくなってるかな。心が痛い作品です。
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