SR サイタマノラッパーのレビュー・感想・評価
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でも駅あんじゃん 河川敷あんじゃん
ラスト7分の魂のぶつけ合いと唐突な終幕はかなりグッときた。あと市民会館で曲を披露してる時のカメラワーク。カメラはIKKUたちのやぶれかぶれの勇姿を遠巻きに映し出すが、そこには市のお偉方の後頭部も映り込む。しかし顔は見えない。俺たちの声は届くんだろうか、というIKKUたちの不安がカメラワークを通じてうまく表現されていたと思う。 しかしこんなことを言うのもアレなんだけど、埼玉県深谷市をまるで文明社会の末端かのように描くのはどうなんだと思う。私自身が『楢山節考』のごとき山中の寒村生まれなので、登場人物たちがしきりに開陳する「でも埼玉だし…」的なシニシズムにいまいち寄り添えなかった。いや、言うて駅あんじゃん、河川敷あんじゃん、みたいな。 と、このように「(物理的であれ精神的であれ)俺は世界で一番不幸だ!」という地点に登場人物を追い込むことで物語に緩急をつけようとすると、画面の外側にいるそれより「ひどい」人々がワーワーと文句をつけてくる。私だってできればつけたくないけど。だからやるやらもっと徹底的にやる(あるいは登場人物の自我そのものに強力な磁力を纏わせる)必要がある。「埼玉県深谷市」という土地はやっぱりちょっと徹底性に欠けるんじゃないかなというのが正直なところ。
【”くすぶった男たちの日常をラップに乗せて描いた作品。”埼玉には、草加煎餅が有って、関越も走っていて、東北新幹線の駅もあるんだぞ!川越なんか、今では小江戸と言われる観光名所だぞ、馬鹿にスンナヨ!】
ー イックは仕事がなく家族から邪魔者扱いされているニートラッパー。 ー 彼は親友のトム、後輩のマイティと共に、病弱なタケダ先輩らの力を借りて自分たちの曲を作ってライブをしようとしていた。 そんなある日、高校の同級生・千夏が東京から帰って来て…。彼女は高校三年生の時にアダルトビデオに出ていた・・。- ◆感想 ・正直に書けば、観ていてイックやトムはイタイ若者達である。 ・そんな彼らは、予定していたライブも開けずに鬱屈した思いをライムを効かせたラップで、表現する。 <夢叶わずに、イックは食堂で働き始めた日に、偶々店に来た、交通整理の仕事を始めたトムにラップで、”夢を諦めてはいないぜ”と歌いかけるシーンは印象的な作品。>
ダサいって何?そこに熱い気持ちがあればダサくない
埼玉県深谷市という地方を舞台にラッパーを目指す若者を描く。ラッパーを目指すが、田舎の生活、恋愛も仕事もない。そんな中でもアツい気持ちが伝わる。ダサいって何?そこにアツい気持ちがあればダサくもなにもない。
役場でライブという地獄
駒木根隆介は「愛の渦」でも出てたけど、童貞感はこの頃から溢れ出てる。 他はみひろ以外はほぼ知らない人。みひろは元本業そのまま。 話の筋ですが、所謂「やだ見」のオンパレードでした。 「俺たちはヒップホップというイケてる音楽をやってる」と、 これは何デビューというのか知らないけど、 自分の道はこれしかない!と「思わされてる」痛い奴。 仲間も消えて、化けの皮を剥がされた自分には何も残っておらず、 それでも前に進むうちに見つける自分。「やっぱヒップホップ好きだ」 題材はヒップホップでしたが、これは何にでも置き換えられる。 ロックバンドでもそう、役者でもそう、研究者でもそう、アスリートでもそう。 華やかに見えるその裏では、多くの挫折者がいるということ。 それは剰え残酷で、観ているこちらは関わりたくない「やだ見」。 ヒップホップという、日本の中での違和感を用いた事も、 あの残酷この上ない「役所でのライブ」へとつながり、 宇多丸師匠やラッパー諸氏にはグサグサ刺さりまくったのだろう。 MCイックを観てると、 「桐嶋、部活~」の野球部のキャプテン想い出すわ、切ない。 これはホントに続きが気になる。あいつらのその後が気になる。
役所の会議室でデモを聞かせた“SHO-GUNG”のメンバー。市民...
役所の会議室でデモを聞かせた“SHO-GUNG”のメンバー。市民税も国民年金も払ってねー♪なんて歌うもんだから質問が殺到(笑)。ここが一番面白かったな。 高校中退してAV女優となっていた千夏にまでボロクソに・・・そりゃニートだもんな。 レコード店もない埼玉の田舎町。そんな閉塞感と、若者を押し込めてしまうかのような雰囲気がよく伝わってくる。ただ、夢だけを持っている若者の物語。やがてMIGHTYもTOMも去ってゆくが、IKKUがようやく定食屋でレジ打ちのバイトを始めた頃、TOMが作業員の仲間と店にやってきてラップのやりとりをするラストシーン。現実に気づかないIKKUの最後のあがきでもあったが、まだまだ若い彼ら。頑張ってもらいたい・・・
振り切れず突き抜けず、夢を信じる事も出来ない半端な臆病者達の青春群...
振り切れず突き抜けず、夢を信じる事も出来ない半端な臆病者達の青春群像劇。 底辺の日常を受け入れ安穏とした日々に満足して、声を上げるでもなく安いプライドを守る為嘘で誤魔化し何かと理由を付け逃げる。握った拳を振り上げられないのは優しさじゃなくただの弱さ。それでも何故だろう。ラスト1カットからエンディングまででホロリとさせられるのは。 会議室のシーンは笑った。あとみひろが同級生とか羨ましいなおい。
つらー(;´∀`)
2011年にDVDで鑑賞 あたがオーディション受けるために予習 これの3か~ クソな映画だな~ としか思わなかった、、、 その後…もう一度ちゃんと見たら なんと切ない… そして和声ラップに目覚める そしてその後のその後…あたが3に出て、撮影中のエキストラにも参加して スタッフで作るメルマガやインターネット配信のラジオも聞いて 入江さんのシナリオ小説も読みーの よー出来た作品だな、これがあっての2、3だな、と思ったわけで
みひろと幼馴染みだなんて…ウラヤマシイ
ラップフリースタイルって、スゴイと思う1作。ラストの長回しは圧巻の一言に尽きる。物凄くエネルギッシュだけど、絶望感に溢れており、何とも言えない焦燥感が全体にただよっている。とにかく感動した。SR2よりテーマが重い分、ズシンと心に残る。
駒木根隆介が伊達みきおに見える
お金をかけていないのがひしひしと伝わる映像だが、ストーリーと所々に挟み込まれるラップには魅了される。
ただ、仲間や小暮千夏との繋がりやドラマがもう少し描かれると、深みがあって良かったかもしれない。
予想とは違い、瓦解したまま話は終わっていってしまう。
それぞれの道を歩んでいく様が切ない。
最後のIKKUとTOMのラップの応酬は、そのまま理想と現実の綱引きであり、あそこで終わることで余計に考えさせられる。
これを見ると、埼玉が物凄く田舎であるというイメージが強く刻み込まれるかもしれない。
宇宙人かよ、お前
「SRサイタマノラッパー」は、入江悠監督作品であり、数々の映画賞を受賞したものである。
本作は、埼玉の田舎町に住む主人公IKKU(駒木根降介)を中心にHIP HOPという音楽を通して青春を描く物語である。ストーリーはIKKU達が結成したSHO-GUNGのライブ活動をしようとするところから始まる・・・。
内容としては、しがないニートラッパーが夢を叶えるための日々を描きますが、実際ある程度の歳になると日々の生活に追われ夢を叶えるチャンスってどんどん減っていくんだなーと痛感させられます・・・。
本作の夢追い人IKKUは夢を叶えるための努力が週刊誌や新聞を読むくらいで、ただダラダラ仕事もせずに生活しているだけですが(笑)
夢を叶える為には少しずつ努力や苦悩を重ねて貯金していくしかないですが、それがうまくいかないのが人生であり、この映画はそのうまくいかない様を淡々と描く。
正直青春ムービーとしては沸点の設定が他の青春映画に比べて低いため、退屈感が否めない人がいると思うがこれが現実に近いと自分は思います。
だから今の自分がうまくいかない人や過去に夢を諦めたり、うまくいかない人は自分と重ね合わせるとぐっときてしまうと思います(自分は前者です(笑))
特によかった点としては断然、小暮千夏役のみひろですね。ひとりだけ役者としての存在感が凄いです。(舞台を中心にしているみたいですがガンガン映画とか出てほしいですね)
過去に好きだった人や仲良かった人を変に言われるとなんかやるせない気持ちがでるとかツボですね(笑)(ああいう空気読めず言う先輩とか友達いますよねー)
IKKUの千夏への思いが過去と変わらず伝えられないとかせつない!でも何も変わってないIKKUにはそれが現実ですね。(CDとプレーヤー、ヘッドフォンを渡すのが精一杯)
あのあと、千夏が電車(窓際)で曲を聴きながら自然に笑みがでるカットとか欲しかった。
自分的には続編(二作ありますが)でなんらかの形で再会という展開を望んでいましたが、なかったですね・・・(続編二作観ましたが)
悪かった点としては、1シーン1カット作品を売りにしてますが、少し単調感がありますしドキュメンタリーチックな要素がありなんか少し観づらいですね(マジックアワーみたいな1カットが理想)
まあ、あと友情や先輩後輩の関係の崩壊がもろ過ぎですねー。
曲まで作った関係性で地元の仲間ならそんなもろい関係性ではないと思います(結局はIKKUとTOMは陰で見下されていたわけですが)
ラストのシーンは賛否が別れそうですが、あれがラッパーという唯一の武器を持っているIKKUとTOMが自分の思いの吐き出す事のできるフリースタイルラップというツールであり長回し一本でエンディングに続く形は良かったですね。
一見の価値ありです!!
※劇中の曲やOP・EDの曲が最高すぎる!!さすが、TKD先輩(笑)
不条・無情、だけど彼らにとってはそこが戦場♪抵抗・するだけ無駄さ・無抵抗♪say!ho!(゚Д゚)
やれるだけ♪やってーこう♪てーいこう♪(○´∀`○)する事から始まるせーいこう♪(やってやんぜ!はっ!!) 今のお前に何が出来る?(´・ω・`)口先だけで、なにもやりゃしねぇ♪なんもねー!(゚Д゚)うるせー!だまっとけー!一生愚痴っとけー!! お前に何が分かる?(´・ω・`)故郷捨てて、プライド捨てて、ソウルなくした堕・天・使♪意味もなく、金・稼ぐ・頼りは金だけ!(゚Д゚)未来は?暗闇!いつかは・お悔やみ!汚いばばぁに、将来・なるだけ!!(゚Д゚)はっ! なんか、ヒップホップとラップの違いがよく分からなかったけど、トムとイクの友情が素敵でよかった!!(☆。☆)・・・トーム♪とイーク♪いつかとーる♪天下とーる♪いーく♪トムとイーク♪ショーグン♪Hey♪ショーグン♪ なんつって(笑)韻踏みたくなる作品でもある(笑)(○´∀`○)
魂の7分47秒
RHYMESTER宇多丸さん絶賛ということで鑑賞しました。最初に言っておくとこの映画は王道の音楽映画ではありません。何故なら、彼も(僕が耳にしたところで)言っていたように音楽の力は周りの人々に最終的に伝わらない(というか伝える舞台が用意されていない)からです。 ハッキリ言って作中でドラマチックな出来事は何一つ起きません。それどころか主人公IKKUと相棒のTOMは作品スタート時点より大幅に後退してる。作中通して非情なまでに冴えないし報われない。ヒップホップというジャンルへの言い得ぬ偏見や埼玉という土地柄の設定が上手く効いてるのでしょう。ボッコボコですよ。 しかも舞台は(埼玉だから当たり前なんですが)本当に僕らが普通に歩いてる街中だし、出てくる人物の会話とか空気感?がすごくリアルなんです。台詞と台詞の間とかがすごくありそう。長い時間を過ごした男同士の一種の気だるい感じの会話の間とか。ちなみにそのおかげで僕は中盤までずっと笑ってました。話を戻すと、だから、本当に僕らが体験してる感じの世界を描写してるからこそ、そこに生きる顔も良くない女にモテない金もないIKKUがあの手この手でボコボコにされる描写は見ていてキツくなります…。 折れるけどまた立ち上って前に進むIKKUに胸打たれます。前に進む事への決意、それがラストの7分47秒の1カットに集約されています。それまで政治とか世界とかをリリックにしてた男が…。明らかに後退した距離より前進した距離の方が短いけど、それでも胸に響きました。ベタベタな感想であれですが、諦めないことのかっこよさを最も体感したシーンでした。どんなスーパーヒーローモノやハリウッド映画より。 そしてそこからのエンディングの流れがもう最高で…。映画館でスタッフロールで席を立つ人はこの映画を見て欲しい。もうそんなことをしようとは思わなくなるのでは。スタッフロールでこんなに幸せな気分になったのは初めてです。続編も絶対見ます。 あと僕も正直ラスト初見は「え??これで終わり??」ってなったので☆5にはしませんが、スタッフロール明けて2回見たら何故かどうしようもなく気に入ってしまったので4.5です。
地方ラッパー
平面な画面が続きます。 物語に多少の起伏はあるものの、劇的な事は起らない。 それも人生か。 ラップに限らずどんな音楽活動でも地方では続けるのも厳しいよなあ、と思ったり ささいなことが大ニュースになって、そこに住んでいる人々皆が知っている状態になるのも早いよなあ、とか 都会のように人にまぎれて暮らすことはできないよなあ、とか、 色々と思った。 地方に埋もれていく才能ってたくさんあって、 もっとも地元から出ずに、才能を試す場もないまま 才能があるのかないのかも、わからないけど 夢をあきらめていった人たちも沢山いるんだろうな、と 思った。 劇中では第一回目のライブもまだだったしね(笑)
埼玉県人+ラッパー+ニートという組み合わせがすばらしかった。
もしかしたらこの面白さは、埼玉県民以外の人にはわかりにくいかもしれないので、ちょっと説明させていただきたいです。 埼玉県は東京都の北に位置する県で、なまりもほとんどなく、国と国との関係に例えると、東京の植民地的なところです。 昔から「ダサイタマ」などと言われ、東京の人からは一段低く見られています。 でも他の地区のように、反抗したり、ライバル視したり、自己主張をするわけでもなく、なんとなく東京に対してコンプレックスがあり、関東以外の地方に行った時は、「どこから来たんですか?」と聞かれると、「東京の方から来ました。」などと言ってしまう県民です。 そしてこの映画の舞台の深谷市(映画ではフクヤ市)は埼玉県の中でも、一番埼玉っぽいところで、東京の通勤圏からは、ちょっとはずれており、ねぎの生産(映画ではブロッコリー)で有名です。 その埼玉県人が、他の地方都市ならいざ知らず、深谷でラッパーやってたら、この映画のようなイタイ感じになりそうで、妙に現実感があるし、なまりがないから、ラップミュージックにすごく合う。 なおかつニートだから東京で活動するわけにもいかず、そこがまた笑えました。 埼玉県人+ラッパー+ニートという組み合わせが、実に見事で、たいへん面白かったです。
すごくいい映画だったのに…
この映画の最大の魅力はイックとトムのキャラクター性の素晴らしさにあることは間違いないでしょう。二人とも外見や言動で表面的にラッパーを気取ることによって虚勢をはり、自分を大きく見せようとしていますが肝心の内面は空っぽもいいところ。女にはモテないし意気地はないし、喧嘩も弱くておまけにニート。この外ヅラと内面の痛々しいアンバランスが二人をしてある人にとっては感情移入しやすく、ある人にとっては笑えるキャラクターたらしめていたように思います。ヒップホップに対する態度にも彼らのキャラクター性は反映されています。彼らはけっして自分たちの日常を歌詞にすることはありません。代わりに「なんかスケールの大きそうな感じのする」政治や国際問題の、雰囲気だけをなぞったような歌詞ばかり作った挙げ句、俺たちのヒップホップで世界を変えるんだと戯言をぬかす。端的に言えばヒップホップという魅力的な(ここに異論をとなえる人もいるかもしれませんが、ここではひとまず魅力的ということにしておきましょう、少なくともイックとトムはそう思っているわけですし……)アイコンに寄りかかってダサくて、空疎な自分たちの日常から逃避しているのがイックとトムだといってよいと思います。
お話はラストシーンの前までは一本調子に淡々と進んでいきます。イックとトムはそのダメさ故に家族からも、AV女優からも、「SHO-GUNG」の仲間からも「雑魚キャラ」の烙印を捺され続けるわけです。ラストシーンまでのこの映画の出来は完璧でした。上述の2人にブロ畑(実弾)の息子マイティーを加えた3人組は、中身はしょうもないのにラッパーとして格好つけているというギャップをうまく笑いに転換していたので、結構笑えました。(特に市役所で大人達のローテンションなつるし上げに完全に意気消沈するシーンは最高)その一方で彼らの痛々しさは女にモテず、友達も少なく、いつもクヨクヨしてばかりいる自分の反映のようにも見えて彼らのダメさに共感できる部分も多々あったわけです。
そしていよいよラストシーン。多くのレビューで称賛を受けていた場面ですが、結論から言えば僕はイックの勇気に胸を打たれることも、彼のラップに自分の人生を重ね合わせることも一切できませんでした。何故か。それはズバリ
「オヤジ達うるせーーーー!」と思っちゃったからです。イックの命がけのライムを茶化すトムのバイト先のおっちゃんたちがものすごいノイズになってしまって、イックが痛々しい存在にしか見えなくなってしまった……。果たしてあのオヤジ達は必要だったのでしょうか。そしてあんな凄まじいノイズの中でも純粋にイックのラップに集中できた人たち(≒ラストシーンを大絶賛している人たち)はなんてたくましい人間なんだろう。そんなしょうもない考えしか浮かんでこないほどに肩すかしを食らったラストシーンでした。
オッサン達、僕の感動を返して下さい (`ヘ´)
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