ミーシャ ホロコーストと白い狼

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ミーシャ ホロコーストと白い狼

解説

1942年、ベルギーの首都ブリュッセル。学校に行っている間に両親がナチスに連行されてしまったユダヤ人の少女ミーシャは、両親が東の方に連れて行かれたと知り、コンパスひとつを頼りに東へ向けて歩み始める。やがて、森の中で行き倒れそうになった彼女のもとに、一匹の白い狼が現れ……。ホロコーストから逃れた少女が、狼とともに放浪しながら生き延びる姿を描いたドラマ。監督・脚本は「女優マルキーズ」のベラ・ベルモン。

2007年製作/119分/フランス・ベルギー・ドイツ合作
原題または英題:Survivre avec les Loups
配給:トルネード・フィルム
劇場公開日:2009年5月9日

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(C)Stephan Films Les aventuriers de l’image XO Productions Inc.(France) Saga Film (Belgique) Dalka - Zuta Film Produktion (Allemagne) 2007

映画レビュー

5.0ストーリーも描写も全部ぐっとくる

2019年8月28日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ストーリーも描写も全部ぐっとくる

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589

5.0なんといっても、これが初主演となる子役のマチルド・ゴファールの体当たりの演技が素晴らしい!撮影当時わずか9歳の少女が、ミミズを頬張る迫真の演技。

2009年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 たった一人の8歳ユダヤ人少女ミーシャが、着の身着のままで、ナチスに捕まった両親を捜して、居住地ベルギーのブリュッセルから、小さなコンパスの針が示す東へ目指し、はるばるドイツ、ポーランド、そしてウクライナまで旅をする作品です。
 途中、ドイツ軍に追い詰められたり、危うく食べ物を仕込む罠にはまって、間一髪捕まりそうなるピンチを切り抜け、極寒と飢えを耐え抜いていくサバイバルなストーリーでした。

 なんといっても、これが初主演となる子役のマチルド・ゴファールの体当たりの演技が素晴らしい!撮影当時わずか9歳の少女が、極寒のロケ地に連れて行かれ、ぼろぼろの服に、ぼさぼさの髪、そして泥まみれ化粧で、けなげに演技しているのです。しかもアドリブも入れて!ホントに天才子役です。
 サバイバルな演技は、それだけではありません。リアリティーを追求した監督は、こともあろうに、マチルドちゃんに泥水を飲ませ、ミミズを頬張らせ、野ウサギを皮の上からガブリと喰らわせるシーンを演じさせたのです。トリックなしのシーンは、見ている方が、かわいそうになりました。さすがに天才少女マチルドちゃんでも、ミミズを食べるシーンでは本当に気持ち悪がっていたそうで、監督は「私のことを死ぬほど恨んだことだろう。」と作品のプロダクションノートで懺悔していました。

 暗いストーリーの中で、ほのぼのさせるのは、冒頭のナチスから避難してきた先で出会った、老夫婦との心許し合うシーンとミーシャーを救う白い狼との触れあうシーンでした。

 一面の雪原が続く中、ミーシャは精根使い果たして倒れてしまいます。そんなときミーシャを救ったのが白い狼でした。しかし、ミーシャーは狼とは気づきません。何しろ、白い狼は、仲良しだった老夫婦のペットの雌犬ママ・リタにそっくりだったのです。
 ミーシャーには、不思議な才能があって、どんな猛犬でも手名付けて、ゴロニャン(^^ゞとさせてしまうことができました。それは犬ばかりでなく、狼にも有効だったのです。
 ミーシャーとママ・リタと名付けた白い狼との共同生活が始まります。どんなときでも狼ママ・リタは、ミーシャーに寄り添い、うずくまって外敵や寒さからミーシャーを守るのでした。

 ただママ・リタは、これまた仲良しだったペットの雌犬ハパ・リタそっくりの黒い雄狼と出会ったとき、恋をしてしまい、子作りのためミーシャと別れてしまいます。
 ひとりぼっちになってからのミーシャの旅は過酷さを増しました。

 しばらくして、ミーシャは灰色の子犬の群れと出会います。子犬たちと早速仲良くなった先にいたのは、母となったママ・リタでした。ママ・リタとその子供たちとミーシャが無邪気にじゃれ合うシーンが感動的でした。仲良く行列しているシーンは、『きつねと私の12か月』の同じシーンにそっくり。でもこのあとママ・リタ一家に悲劇が・・・。

 ところで、キツネより狼の方が、人間になつきにくいはずでは?
 ミーシャを演じているマチルドは、ミーシャのお株を奪う素晴らしい調教師ぶりを発揮したそうです。なんと天才少女なんでしょ。一つ気分を害すると役者に噛みつきかねない危険な狼たちでも、マチルドがナデナデしてあげると、警戒を解いて、彼女の指示に温和しくしたがったそうなのです。だから狼と絡むシーンは、演出ではないというところも凄いでしょ!

 やがてたどり着いたウクライナで、言葉は通じなくても、人情深い一家に助けられて、安住の地を得ましたが、やがて終戦を知り、再びミーシャは、両親を捜すべくブリュッセルに戻ることを決意します。またまた歩くのねぇ。

 ブリュッセルにはたどり着いた者のミーシャは病気になり、生死を彷徨います。そこまで、マチルドちゃんに過酷な演技をさけるのかぁ!監督のオニ!と叫びたくなるような壮絶さでした。
 さて、ミーシャは、旅の目的であった両親との再会はどうなったかは、画面でご覧ください。仲良しのママ・リタとハパ・リタと再会できたのは良かったけれどね。

 ミーシャの体験するホロコーストと苦難の旅を通じて、戦争の悲惨さを伝えてあまりあるストーリーでした。
 また『皇帝ペンギン』の音楽を担当したエミリー・シモンは、本作でもベースとギーターのシンプルなアコーステック編成で、大自然に抱かれた映像美を引き立てていました。音楽も素敵です。

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