「確かにアンジェイ・ワイダ監督の力作だが…」カティンの森 たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)
確かにアンジェイ・ワイダ監督の力作だが…
アンジェイ・ワイダ監督が描いた「カティンの森事件」、渾身の一作。
確かに、ワイダ監督の力作であるが、個人的には迫力あり過ぎる虐殺事件でリアル過ぎるので、観終わって力が抜けてしまう…(^^;
冒頭テロップ「1939年8月23日、ドイツとソ連は不可侵条約を結ぶ」・「9月1日、ドイツ軍がポーランド侵攻」・「9月17日、ソ連軍もポーランド侵攻」という背景を表示。
そして、ポーランド軍の将校を夫に持つ母娘が夫を探す。束の間の再会、夫は移送される。妻は夫の安否を気にしながら暮らす。
……といった前半は、様々な映画で描かれているように、ポーランドが侵攻されてポーランド人が苦しい状況であることを描きつつ、家族愛も映し出す映画である。
後半になって、カティン事件を描き始めたあたりから、当時のニュース・フィルムを使っているので(モノクロ映像ではあるが)事件が現実のものであったことが生々しく描写される。
……このあたり、これまで数多くの映画を観てきたので耐性はあるはずの自分だが、痛みを感じずにいられなくて、居心地が悪い感あり。
登場人物の女性が「自由なポーランドは有り得ない、二度と…」というセリフを口にするあたりも、かなり悲劇的な雰囲気たっぷり。
劇中、将校の父親と引き裂かれて成長した娘エヴァが街中で出会った若者と映画館の前で「映画観たことないわ。『陽気な連中』だって…」とソ連映画が上映されている場面あり。
アンジェイ・ワイダ監督の力作であることは確かだが、個人的にちょっと合わず……。
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