フロスト×ニクソンのレビュー・感想・評価
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劣等感の賜物。
名画座にて。
これは絶対来るだろうと楽しみにしていた作品。
R・ハワードが監督ということで、かなり観やすい。
その分、緊張感にはやや足りない感じもするが^^;
実際のTV番組も舞台版も(キャスト同じだったのね)
観ていない自分だったが、これはかなり面白かった。
ほとんど丁々発止のやりとり。ああ言えどもこう返す。
どう考えても有利な立場にいたニクソンが、なぜ
あんな風に口を滑らせ、狼狽し、全てを失ったのか。
実際に観るまでフロスト(こんな女好きだったとは^^;)
という人物の造型があまり分からず、確かに頭はいい
かもしれないが、たかがTVショーの司会者。である。
出来るのかぁ??インタビューだぞ。。という感じだ。
そして後半、ついに口を割るニクソンを観るに至っても、
私にはこれがフロストの力!というよりは、運のような
(ゴメンなさいねぇ)そんな感じさえしたのだ。
だが彼は、敵?であるニクソンに好意を持たれていた。
常に他者との劣等感に苛まれたニクソンにとって、
また出たか、のごとく輝ける男だったんだろうと思う。
だからコイツ(すいませんね^^;)をねじ伏せることが、
自分の復権に繋げる最たるものだと信じたんだろう。
昔、幾度かニクソンのドキュメンタリーやドラマを観た。
その時の印象とまったく変わっていない(当り前か)彼。
演じるF・ランジェラがとにかく巧くて本人に見えてくる。
勤勉な努力家であり、平和外交などで力を発揮すれど、
ほとんど人気が出なかった(汗)やや可哀相な政治家運。
(近年になって、彼の功績がまた評価されているらしい)
プレイボーイな上、裏工作を重ねるケネディと比べれば、
見劣りはすれど^^;選挙ではまだクリーンな印象があった。
反面、若い頃から金銭にめっぽうしたたかで稼ぎ上手、
さらにはすぐに激高しやすい性格でもあったようだ。。^^;
追いつめられたフロスト陣営が勝負に出る後半戦、
ここでのメインは、その前夜にニクソンがかける電話だ。
これがあったおかげでフロストは勝てたような気がする。
(この部分が本当ならば、だけど)
それにしてもTVメディアの力は凄い。
扱う内容がなんであるにせよ(薬物ニュースとかねぇ)
興味のあるなしに関わらず、目耳に入り込んでくる。
確かにそれを熟知している者が、そのギョーカイでは
名を馳せることを、再確認させられる作品でもあった。
(ということでR・ハワード御本人の力が発揮されてます)
地味な題材をよくぞ映画に
「地味な題材をよくぞ映画にしたなぁ」と、いうのが、映画を見終えての第一印象。もともと舞台劇を映画にしているそうなので、観客への見せ場は心得ているようだし、フロストとニクソンが激論を戦わせる場面も、老かいなチャンピオンと王座を虎視眈々と狙うものの経験不足が否めないボクサーの争いを呈していて、見ていて手に汗握る。
だがしかし、ニクソンが実際にかけてもいない電話を物語のキーポイントに持って来てしまったのがいただけないと思う。映画は虚構の世界を描くもの、と言えばそれまでだが、実在のウォーターゲート事件を巡る物語の映画化なのだから、リアリティーにはこだわって欲しかった。その点が何とも残念だ。
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