「監督ばんざい」フロスト×ニクソン SAOSHIーTONYさんの映画レビュー(感想・評価)
監督ばんざい
他の映画サイトではフロストとニクソンの対決に話題が集中しているようですが、私はロン ハワードが映画監督として才能を発揮したからこそ、この作品が成功に終わったと思っています。極めてドキュメンタリーに近い完成度の高い作品に仕上がっていると思います。
舞台は1977年のアメリカ
ウォーターゲイト事件への関与からホワイトハウスから失脚させられてしまった元大統領とがけっぷち状態にあったテレビ司会者との4度に渡るインタビューとその裏側を描いた本作。
注目はロン ハワード監督の采配とキャスト陣による最高の演技です。特にニクソン役を演じたフランク ランジェラはトニー賞を受賞した役だけあって最高のニクソン象を作り上げています。台詞回し、表情の作り方、沈黙するタイミング等すべてにおいて完璧で、演技とかに興味がある私としては本当に勉強になりました。もちろん、フロストを演じたマイケル シーンやケビン ベーコン、サム ロックウェルもいい味を出していました。それから、フロストの相手役を演じたレベッカ ホールはとても綺麗でした。
しかし、ロン ハワードがいなければここまでの作品には仕上がらなかったと思います。演出、カメラワーク、音楽の使い方、当時のニュース映像の使い方、役者さんたちによる当事者たちのインタビューの再現等舞台では決して表現出来ない手法が沢山盛り込まれていて、彼のリアリティーへのこだわりの様なものを感じました。「バックドラフト」、「アポロ13」、「身代金」といった娯楽作「ビューティフル マインド」や「シンデレラマン」といった感動作「コクーン」や「スプラッシュ」といったファミリームービーそして、「ダビンチコード」のような失敗作等様々な作品を撮ってきた監督の新たなる一面を発見したような気がします。
ただし、ウォーターゲイトについて何の予備知識もないままこの作品を観てしまうと痛い目に合う可能性があります。先にウィキぺディア等でウォーターゲイト事件について調べてから観る事をオススメします。
それにしても素晴らしい作品でした。