「どんな職業でもある"過去の栄光と、過酷な現状"。罵倒されながらも町...」レスラー yosさんの映画レビュー(感想・評価)
どんな職業でもある"過去の栄光と、過酷な現状"。罵倒されながらも町...
どんな職業でもある"過去の栄光と、過酷な現状"。罵倒されながらも町のスーパーで細々と働き、週末はマイナー団体で老体を酷使してリングで戦い続ける日々。密かな想いを寄せるストリップバーの踊り子だけが唯一の癒し、という侘しい日常。小さな体育館で行われたファンイベントでは、自分と同じ"昔のレスラー"たちが集い、疎らに訪れるファンにたった8ドルで記念撮影とサインをする。
哀しすぎる毎日を延々と観させられるとにかく暗い作品ではございますが、第66回ゴールデングローブ賞で主演男優賞を獲得し、第81回アカデミー賞にノミネートされたミッキーの濃厚な芝居、それを観れるだけでも十分価値がある一作です。
時折使われる主人公を背中から追う何気ないシーンの数々は、黄金時代が過ぎた男の哀愁漂う何ともいえない"背中"を効果的に見せているようで、この監督なかなか巧いな…とか思わされた。
それに答えるようにミッキーは、ただ黙って"背中"で語ってみせる。まさに二十年前が人気絶頂期だったミッキーだからこそ出来る業だと思える。
ラストで見せたランディのあの表情と、エンドロールで流れるブルース・スプリングスティーンの曲が、今でも目と耳に焼き付いて離れない。
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