「言葉が出ない」縞模様のパジャマの少年 るんさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉が出ない
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久しぶりに心を動かされた映画。
ジャケットすらよく見ずに評価が高かったことから選んだ作品だったが、感動ものだと思っていたのでかなりのショックだった。長すぎずちょうどいい長さで無駄なく退屈することがなかった。
心が痛むシーンは要所であったが、特にブルーノが食べ物を与えたことで起きた騒動では辛くて涙が出た。甘い顔の将校が子供相手にとても強い言い方をしていることもショックで、ユダヤ人の扱い方について改めて痛ましいと思った。
ラストは父親にとって因果応報で、残虐なことをしているということが自分の息子の身を持ってしてようやく自覚することができたであろう。
気になるとすれば、ラストで母親が地面に座り込み号泣している際、姉グレーテルも一緒に泣いていたことだ。いくら部屋にヒトラーのポスターを貼ろうがユダヤ人批判の教育を受けようが、まだ弱冠12歳。おそらく度々あがっていた黒煙とその異臭にすら気づいていなかった姉が、初めて家の外に出て収容施設まで行きどうして状況が理解できようか。なぜ母が泣いているのか、なぜブルーノの服があるのか。収容施設でなにが行われているのか。おそらく疑問でいっぱいで動揺しているはずだ。しかしそのシーンでは母を抱き寄せる前一緒に座り込んで泣いていた。そこがどうしても納得がいかず引っかかってしまった。
ともあれ考えさせられる作品だったことには変わりない。間違いなく今年私が観た中で一番の作品である。
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