「ツンデレ戸田恵梨香に萌え」恋極星 かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
ツンデレ戸田恵梨香に萌え
自ブログより抜粋で。
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ということで世界観はまさに少女マンガのそれ。
主人公たちの境遇もその後の展開も女の子が好みそうな涙を誘うメルヘンチックなラブストーリーで、さすがにアラフォーのおじさんにはちとむずがゆいのだが、もちろんこの映画は女性、特に女子高生あたりを主な対象としているのだろうから、その辺のゆるさは企画相応ということで目をつぶる。
ただ、写真家AMIYさんの演出がね、門外漢の初監督ということでしかたないのだろうけれど、ちょっと閉口させられる。
本業が写真家なだけあって絵的には時にハッとさせられることもあった。でもその一方でムービー(動画)としてのつながりの悪さがやたら目に付くんだな。
最初は時間経過に対してやけに淡泊な演出だなあって印象で観ていたんだけれども、菜月の心の動きが脈略無くコロコロ変わるので、これはもう、ただ下手なだけだな、と。
そこから目をそらせられるほどの派手な仕掛けなんてない、揺れ動く心の機微だけで見せる直球なラブストーリーなだけに、監督の演出力のなさが如実に露呈してしまっているのよ。
絵に描いたようなツンデレの菜月が、ツンからデレに移行してからはひたすら一途で心変わりしないので、序盤の違和感こそ薄れたが、山場となる流星群の夜で、そこまでずっと菜月目線で描かれていたのに、ここだけ颯太目線で菜月の行動を後出しにした構成もいただけない。
きっと、“実は…”っていう驚きで泣かせたかったのだろうが、伏線の張り方がなっていないので狙いほどの驚きはないし、そもそもこの映画は菜月の成長物語でもあるのだから、下手に意外性を狙うより、颯太との関わりの中で変化を遂げた彼女の行動力を前面に出して、クライマックスへ向けて盛り上げるべきじゃなかったのか。
実質的な映画の締めとなる“涙のプラネタリウム”も、“思い出”というこの映画の重要なテーマがいまひとつ機能しきっていない。
これも伏線や小道具の見せ方をもっと巧くやっていれば感動が倍増していたはずだし、意外性を狙うならここだったはず。
終始演出の悪さが気になってしょうがなかった本作で、唯一救いがあるとすれば戸田恵梨香がとにかく綺麗だったこと。これだけは本業写真家監督としての面目躍如といったところか。
特に菜月が颯太との愛を育む日常のモンタージュシーンでの活き活きとした彼女の表情がかわいいったらありゃしない(笑)
このモンタージュやラストのプラネタリウム投影シーンを見ていると、AMIY監督はストーリーを追う劇映画よりミュージックビデオとかのセンスで魅せるイメージ表現の方が本領を発揮するタイプみたい。
演出のまずさから、ひとり気を吐いている戸田恵梨香の好演が空回りしているのは惜しまれるんだけど、冬の北海道の美しさにも負けない戸田恵梨香の魅力は存分に堪能できるので、戸田恵梨香ファンなら彼女目的でこの映画を観ても満足できるんじゃなかろうか。