劇場公開日 2010年1月16日

「苦く痛い青春」BANDAGE バンデイジ さくさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5苦く痛い青春

2010年1月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

この映画は1から10まですべてを説明してくれない。

感情の移り変わりやその過程、大切なディティールをすべてすっ飛ばし
あったことを断片的に拾っている感すらある。

人物が一人で葛藤するようなシーンも非常に少なく感情移入という面でみると非常にしにくいところがあるのかもしれない。

しかし、人の裏側や心の動きを考えながら作品をみるのが好きという方にはかなりお勧めしたい。
私はこの世界観にどっぷりはまり込み
泣かそうとしていない、痛みや苦味に胸を締め付けられる思いで鑑賞することができた。

映画を見終わった後の余韻はかなりのもの。

映画館を出ても、あのときのこの台詞はこういうことを表しているのではないか、などさまざまな思いが駆け巡る。

キャストもとてもはまり役だった。

北乃の純粋でまっすぐなイメージをうまく利用し、グレーに近づけ
赤西の不透明なイメージを、切なげではかなくもろいものとした。

そのほかのLANDSメンバーもすべてが印象に強い。

音楽は90年代を意識しており
単体で聞けば本当にダサいと言えるようなものなのに
映画に乗せると、それはそれであり、むしろ心地よいのが、さすが小林武史。

すべてパーフェクトと言うわけでもなく
間延びしてしまったシーンやもう少し描いたらよりよかった背景があっただろうが
初監督作品(小林)、初主演初出演作品(赤西)としてはなかなかではないだろうか。

赤西仁、彼は素質はとても良いと思うが
今回の映画で、経験値の少なさが浮き彫りになったように思う。
役に入り込むのが、とても遅かった。
しかし、入り込んだ後の彼の演技は惹かれるものがある。
経験値の少なさと共に、大きな可能性も懐かせた。

ドラマにしろ映画にしろ
経験をつんでいけば(ジャニーズありきのものでなく、きちんと経験のつめる物語で)光る役者なのでは?と思う。

また見たいと思える作品、そして何度見ても色を変える、
そんな作品であると思う。

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さく