「単なるアイドル映画にあらず」BANDAGE バンデイジ かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
単なるアイドル映画にあらず
拙ブログより抜粋で。
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岩井俊二のカラーが滲み出た淡い映像美はそれだけでも観る者を心地いい世界に浸らせるが、初監督の小林武史の演出もなかなか侮れない。
冒頭から手持ち撮影の長回しが多用され、ちょっとやり過ぎかなという気がしないでもなかったが、これが結果的に作品全体にほどよい緊張感をもたらした。
ことクライマックスのKAT-TUN・赤西仁、北乃きいの掛け合いはちょっと唸らされた。
(中略)
音楽モノとしても、初監督ながら音楽のプロである小林武史監督のこだわりが至るところで感じられる。
単なる音楽絡みの恋愛モノという企画なら、舞台は現代でも通用したんじゃないかという気がする内容だが、これはやっぱりバンドブームの90年代という背景があってこその映画になっている。
それゆえか映画としてのテイストもドキュメンタリータッチに振られていて、そこにも監督の的確な意図が見える。
熱いだけの青春映画ではなく、湿っぽいだけの恋愛映画でもない。
王道のサクセスストーリーの中に軽妙なユーモアを交えながら、若さゆえの衝突や葛藤を露わにする。
クライマックス以降少々くどい印象があるものの、音楽青春映画としてきっちりと締めた幕切れの後味はすこぶるよい。
青春の一時代と、バンドブームの一時代、それぞれのAGEに懐かしさを感じた爽やかな感動作でした。
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