「「選ばなかったほうの人生」の美しさ」シェルブールの雨傘 imymayさんの映画レビュー(感想・評価)
「選ばなかったほうの人生」の美しさ
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「選ばなかったほうの人生」の美しさ、というものはあるのかもしれない、と。それは実現されなかったがゆえに、可能性が無限に広がっているから、美しく感じてしまうし、羨ましく思ったり、あのときこっちを選択していればって後悔したりもする。でも人間は贅沢だから、いつ、なにを選択しても同じことを思ってしまうんだろうなと。
すこし、ララランドの物語と似ているのかも。
ギイは別の女の人と結婚して幸せそうに暮らしていたけれど、ジュヌヴィエーヴはクリスマスも喪服だし、夫はともにいないし、幸せではないように見えた。ふたりのコントラストがさみしい。ふたりが子供が産まれたらつけようと約束していた、「男の子ならフランソワ、女の子ならフランソワーズ」がそれぞれの子供の名前そのままで、つらくなってしまった。ギイは新しい家族と幸せでも、ジュヌヴィエーヴとの想い出のほうも捨てきれなかったのだなあ、
ジュヌヴィエーヴがギイに最後に「幸せ?」って聞くのほんとうにつらい、相手の幸せを確認して別れて、映画の最後は、ギイの一家の幸せなシーンで終わる。ジュヌヴィエーヴの方の物語はわからない。彼女がどんな人生を送っていて、どんな気持ちでいるのか、映画では描かれなくて、見る方の想像力に委ねられている。解釈の余白を残した映画。
ヌーヴェルヴァーグの映画は音楽がいいよね、と思う。ミシェルルグランの音楽が物語に寄り添ってくれる。
ファッションで人物の気持ちを表現しているところも良かったな、お洋服も壁紙もインテリアもほんとうにかわいい、
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