「親の愛を下さい。」リリィ、はちみつ色の秘密 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
親の愛を下さい。
名画座にて。
かなりの評価を聞いていた作品なので楽しみだった。
D・ファニング、私はなぜか安達祐実とダブるんだけど^^;
この彼女たち、上手く成長しましたねぇ。という感じだ。
まぁ結婚だ、出産だ、となれば色々あるんだろうが…。
とりあえず女優として、子供時代から今へのステップが
演技力と相まって、今回もさすがのオーラを醸している。
どんなに汚い恰好をしていても(ごめんね)、化粧っ気が
なくても、若々しく見えるというのは羨ましい…(嫉妬^^;)
ただしかし。。。
内容は、個人的にはけっこう辛かったなぁ。
親の愛を欲しがる子供に、素直に与えられない父親。
事故死した母親への思慕と責任で押し潰されそうな娘。
ミツバチに逃避する気持ちが痛いほど分かるのである。
そしてある意味、あそこまで不当な差別(時代ですが)
を目の当たりにしてなお、黒人達と行動を共にしたがる
彼女の気持ちが、正直、分からない部分も多かった。
(のちに母親の過去が明かされてなるほど…となるが)
どんなに自分の価値観は違う!と声高に叫んでみても、
世間は容赦なく彼女の傍にいる彼らを、迫害するのだ。
公民権法など、知ったことかよ。の暴虐ぶりである。
せっかくの愛すべき隣人(いや、もっとか)を手にした
少女が、その愛を諦めかける決断には涙が出たが、
何気に気付くのが遅すぎる感もあった…悲しいことに。
母親の愛を再確認したかった彼女が手にした事実は、
紛れもなく一度は捨てられたことでもあった。時を経て、
自身が落ち着いたら子供を迎えに行くという母親像は、
「クレイマー、クレイマー」などでも証明済みである。
自分を見失い、親としての責任を放棄してしまうのだ。
私には出来ないが…(-_-)その立場の程によるのだろう。
彼女がもう少し大人になって、男女の理解不能な愛憎を
学び、非情な愛を持つ父親の心情に迫ることができた時、
初めて自分の愛を認識できる立場になるような気がする。
親だからといって、必ずしも聖人君子ではない。
まぁ私も…あの父親とは暮らしたくなどないが…^^;
(しかし、P・ベタニーが上手すぎて誰か気付かなかった)
Q・ラティファをはじめとする三姉妹がとにかく魅力的!
で、実に個性的。大地のような包容力を持つ長女・8月と、
冷たい美貌の次女・6月。すぐ情に溺れてしまう三女・5月。
名前も個性的だが、彼女らの生き方も進歩的で朗らかだ。
あえて卑屈にならず、他人を羨むこともない。
白人の少女ですら温かく(一人は違ったが^^;)迎え入れる
彼女らの人間性から学ぶことが、ことのほか多いのだ。
そして…なぜそう生きられるのかを8月はリリィに告げる。
不幸を背負い、複雑な思春期を迎えた少女が学ぶには、
もってこいの場所だと思える。ここで落ち着きを取り戻し、
自身の夢を実現させるべく精進し、差別や偏見のない
明るい未来が訪れたらいいなと、今の自分が願っていた。
(最近のW・スミス夫妻、製作ではいい仕事してますね^^;)