「愛されることは愛すること」リリィ、はちみつ色の秘密 しんぽんさんの映画レビュー(感想・評価)
愛されることは愛すること
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もともと期待はしていたんですけど、とっても自分好みの作品が観られました。
ちょっときれいに描きすぎかなーという気がした分、感動のふり幅が若干目減りした感じが残ったんですけど、それでも公民権法制定でも根強く残る黒人への差別ぶり、亡き母の愛を確認するために行動を起こす少女の成長物語は観ていて、とても印象的なものでした。
過失とはいえ自分が母親を殺してしまうという重い十字架を背負って生きていかなくてはならない状況。その十字架を少しでも軽減できるように接してほしい父親も冷酷で、すがれる対象のない少女を思うと、物語の当初から重いものを抱えて観なくてはならない作品なのは確か。
自分自身を許すことが出来ない少女の心にちょっとした安らぎを与えてくれたオーガストの包容力に、観ているこちらまでが優しくなれるような素敵な作品になっているかなと思います。
子どもとして守られながら生きていた小さな社会から、行動を起こしたことで望む望まないに関わらず、見ることになってしまう現実社会。つきつけられる現実は少女を大人に変えていくには十分すぎるものがあるでしょうね。それを思うと、リリィがかなり不憫に思えてしまうかなと。
リリィが成長の過程で取捨していった数々のものが、この後の彼女の人生を照らすものになってほしいなと感じました。
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