「人生の10本に入りそうなくらい、胸にズシンと染み入る映画」グラン・トリノ ともさんの映画レビュー(感想・評価)
人生の10本に入りそうなくらい、胸にズシンと染み入る映画
前半、主人公の意地っ張り加減や人種差別的な悪口をボソッと言うのがブラックコメディな感じがしておもろい。笑
派手な演出やBGMはないけど、テンポ感が良くて全く飽きずに見られる。
スーとボーイフレンドが黒人チンピラに絡まれるシーンで、「兄弟なんて言うな。どう見ても違うだろ。」とツっこむシーンが好き。笑 後半の主人公との良い対比になってると思う。
あと、タオが一生懸命仕事をしてる画と、主人公がタバコを吸ってる画を何度も交互にうつしてるシーンがシュールすぎてお気に入り!
すぐに銃を持ち出すのも、「お決まりのやつ」って感じで見てておもろい。
「なんて言ってるか分かんないけど絶対こちらを嫌っているおばあちゃん」とのやり取りもとても好き。笑
グラン・トリノとタバコとビールが最高に似合う渋さに痺れる!
パン族との文化の違いに顔をしかめつつも少しずつ心を開いていく心情の変化が面白かった。
と、前半だけでも、純粋に面白く観れるのに、後半はそれを上回って一気に引き込まれる!
家を襲撃され、スーがボロボロで帰ってきたシーンから緊張感が流れはじめる。あまりに理不尽な暴力に、「どうか皆が幸せになれるように…」と願わずにいられない。
27歳の牧師との懺悔室での会話、地下室に閉じ込めたタオとの最後の会話、少しずつ、自分の罪について語り始める主人公。特にタオとの会話での「勲章なんてそんないいものじゃない。俺が殺したなかにはお前くらいの子どももいた。それが忘れられない」みたいなセリフから(細かいセリフうろ覚え)、タオの面倒をみることも助けたことも、自分自身への罪滅ぼしというか、贖罪だったのかなぁなんて。
そして、衝撃のラスト…。彼が考えぬいた末の1番の正しい道だったに違いない。
お互いに、「友達」と言い合った2人の関係は、とても尊かった。
「グラン・トリノ」のタイトルの回収もとても渋くて良い…!