「何かが足らない」グラン・トリノ jojo助さんの映画レビュー(感想・評価)
何かが足らない
前々から気になっていた作品を今更みてみた。
結論から言うと、気の抜けた炭酸といったところか。
役者としてのクリントイーストウッドの凄みがある。
監督作品としてのフォーマットを踏まえていて『なるほど』と思えるところもある。
ただそれらが調和が取れているかというとそうでもなかった。
老いた白人老人の末路を描きたかったのか、
アメリカ社会で揉まれて成長するアジアン青年を描きたかったのか、
古き良きアメリカから変貌する社会の憂を描きたかったのか、
いまいち焦点が合わないまま終わってしまった。
決して駄作ではないけどイーストウッド以外が主役をやった場合、
同じ評価を得られたかどうかは怪しい。
逆を返せば、彼がいかに偉大な役者だと言うことが分かるといった意味では偉大な作品。
運び屋の時にも感じたけど、老いが故の苦悩を格好良く見せるのではなく、泥臭いまま若い世代にぶつける彼の作品を見てみたいと思った。
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