「革命家の本質。」チェ 39歳 別れの手紙 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
革命家の本質。
偉大な革命家の最期までを描いた第二部。
ソダーバーグの演出は第一部とまったく変わっておらず、
相変わらずの独自目線で、淡々とゲバラを追っていくが
同じ演出方法なのに、今作ではまったく違う印象を受ける。
ゲバラの本質が見えたのは、静かなる今作の方だった。
奇跡の革命を成し遂げ、突っ走った前作とは対照的に、
今作は、ただただ重苦しく、怠惰な空気が漂っている。
ゲバラの革命魂も、彼の本質も、少しも変わっていないのに、
すでに時代は変わったんだよ。と言わんばかりの冷たさ。
それを傍観的に観ることで、無慈悲な人間の移り変わりを
まざまざと感じてしまった。無抵抗な貧民層を取り込む力を
持たぬ信念が今回は仇となり、手痛い裏切りに見舞われる。
人を信じる心、愛こそ革命力だと疑わない、彼の想いが
弾けては散っていく後半はもう、正視できないほど辛い。
戦略を練り、いかに勝利を治めるかを目論む闘士ではなく、
彼は革命という名の「愛」に身を捧げたひとりの医者だった。
ハッキリとそれが見てとれる今作は、そんな彼への敬意と、
惜しい人物を葬ってしまった過去への悔恨でいたたまれない。
(今回は化けるトロ。偉大なカツラ俳優第二号出現の予感。)
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