「ドラキュラの親馬鹿ぶりにホロッ!」モンスター・ホテル DOGLOVER AKIKOさんの映画レビュー(感想・評価)
ドラキュラの親馬鹿ぶりにホロッ!
原題:「HOTEL TRANSYLVNIA」(ホテル トランシルバニア)
監督:ゲンデイー タルタコフスキー
アメリカ映画 3D コンピューターアニメ映画 ソニーピクチャー
キャスト(声優)
ドラキュラ伯爵:アダム サンドラー
娘メイビス :セレナ ゴメス 日本版(川崎海荷)
ジョナサン :アンデイーサンバーグ (藤森慎吾)
ストーリーは
ドラキュラ伯爵は 愛した妻が形見に残した赤ちゃんを 安全に育てる為に秘境のリゾート地に、お城のようなホテルを建てた。妻を無残にも魔女狩りの火あぶりで失った。その憎い人間から できるだけ離れて暮らさなければならない。大切な赤ちゃんを 人間の迫害から逃れて無事に育てるには どんなに注意しても注意し足りない。お城の奥の奥で、大切に大切に育てられた女の子メイビスは 父親の愛情を一身に受けて育った。
でも大きくなると メイビスはお城を出て、外の世界を見てみたくて仕方がない。外に出たいと言う娘に、とうとうドラキュラは メイビスが118歳になったら外出禁止を解く と約束してしまった。
メイビスの118歳の誕生日。
好奇心の塊のようなメイビスのことが心配で心配で仕方の無い父親は、メイビスに外出許可を与える一方で、ホテルの近くに、架空の町を作り、メイビスを待ち受けた。彼女が町に着いたとたんに、人間のふりをしたモンスターがメイビスを火炎攻撃、ニンニク攻撃で、怖い思いをさせる。もうこりごりと、逃げ帰ったメイビスを見て、ドラキュラは、にんまり。
さてメイビスのお誕生日を祝う為に 世界中からモンスターがやってきた。フランケンシュタイン、ミイラ男、透明人間、狼男、と次々にやってくるお客たちと、豪勢で愉快な誕生パーテイーが始まる。しかし、ドラキュラ伯爵の館に こともあろうにバックパックを背負った人間界の青年が紛れ込んでやってきた。ドラキュラは大慌て。
リュックを背負って世界中を歩いて回っている青年アンデイーは、のどかな顔で怖いもの知らず。まして、ホテルはモンスターのために作られたホテルだなどと、知らないから中に入るなり、みんな怪物の仮装パーテイーをしているのだと思って、さっそく仲間入り。そこで出会ったメイビスに一目惚れをする。
メイビスも、生まれて初めて会った青年に心惹かれる。あわてたのはドラキュラだ。体よくアンデイーを追い出そうとするが 可愛らしいメイビスに恋をしたアンデイーは 一向に出て行かない。歯噛みをして二人の間を引き裂こうとするドラキュラのもと、メイビスとアンデイーの初恋の行方は、、、。
というお話。
とても愉快なコメデイーアニメーション。
驚くほど画面が美しい。アニメーションの技術も進んだものだ。デイズニーアニメの初期の頃のフイルムとは雲泥の差だ。動きも自然で、それぞれのキャラクターが際立っている。
ドラキュラがとても魅力ある描き方をしている。彼の親ばかぶりが、笑えて、ホロッとさせる。彼の過保護のもとすくすく育ったメイビスが 純真で可愛らしい。
そのメイビスを一目見るなり恋をする 21歳のバックパッカーも、朴訥としていて 正直で魅力的だ。彼がメイビスに誘われて、お城の屋根の上から下界を眺めて、その美しさに感動して、「ワー。ブタペストみたいだ。」というシーンがある。アンデイがただの旅行好きな現代っ子なだけではなく、東欧諸国を歩いて巡るような、なかなか骨のある青年だということが それとなくわかる。
ホテルにやってきたモンスターたちに楽しんでもらおうと、ドラキュラは 食事だけでなく、ゲームやカードやロックコンサートやプールでもてなす。でもドラキュラのセンスは とっても時代遅れ。なんと言ってもドラキュラは何世紀も生きてきた。今では 年寄りが老人ホームでしかやらないような ビンゴゲーム、1950年代のようなスローテンポのミュージック。ドラキュラの時代の産物に、欠伸を噛み殺すアンデイーの様子が 大いに笑える。
誰もが知っているモンスターたちが、リゾートホテルにやってきて、皆仲良くプール遊びに興じたり、ダンスしたり、ゲームやったり、メイビスとドラキュラのために力を貸したりする。
とても楽しい映画。見ていて自然と頬が緩む。
一人で見るのではなく 仲の良い家族や友達と見て、一緒に笑って、ちょっと幸せな気持ちになれる映画だ。