「バンパイア族と人狼族の因縁の始まり」アンダーワールド ビギンズ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
バンパイア族と人狼族の因縁の始まり
バンパイア族と狼男族との因縁の争いを描いてきた、『アンダー・ワールド』シリーズの3作目。しかし本作は、これまでの争いの原点とも言える部分を描いた、前2作の前章譚となる本作。これまでは2作は、バンパイアの戦士・セリーンを主役に、人狼との激しい戦闘を描いてきた。しかし、本作は、一度狼に変身すると、二度と人間の姿には戻れないウイリアム人狼族とは違い、人間に戻る能力を備えて誕生した、ライカン族のルシアを主人公とし描いている。
そして、バンパイア族と人狼族の確執は、元を辿るとバンパイア族が人狼族を虐げ、奴隷として扱ってきた、恨みや辛みがあったことが、本作を通して明らかになって行く。また、ビクターの娘の女戦士・ソーニャとライカン族のルシアとの、決して結ばれないラブ・ストーリーの果ての悲劇も重なり、一気に、人狼族への同情と共感が高まる内容となっている。
バンパイアの長老のビクターは、ルシアが誕生した時に家族を殺し、ルシアも殺そうとしたが、昼間も活動ができ、狼から人間に戻るルシアの能力を利用しようと考え、育てることにした。時が経つ中で、ルシアは、ビクターの命令通りに動く奴隷として生きてきた。そんな中、ルシアは、ビクターの娘・ソーニャとの禁断の恋に落ちる。
それを知ったビクターは、娘とルシアの不義密通に怒り、ルシアを鞭打ちにする中、娘のソーニャを、日光に当てて死刑にしてしまう。そのルシアの怒りが、これまで虐げられてきた人狼族に伝わり、一致団結して打倒バンパイアを掲げ、バンパイア城に一気に雪崩れ込み、戦闘を開始する。追い詰められたビクターの運命は…。という展開。
90分という短い上映時間の中に、起承転結がハッキリしていて、内容も分かりやすく、面白く鑑賞できた。そして、当然、1作目のセリーンが主役となる『アンダーワ―ルド』に繋がるラストも、しっかり食い込ませていた。
ソーニャとセリーンは、瓜二つの女バンパイアということで、当然、セリーンを演じたケイト・ベッキンセイルが、ソーニャも演じると思っていたら、ローナ・ミトラが演じていた。確かに2人はよく似ているし、ローナもアクション映画への出演も多く、納得できる配役だった。ルシア役には、これまでも多くの映画やテレビドラマで活躍してきたマイケル・シーンが、体当たりのアクションに挑んでいた。