「脚本が秀逸です」60歳のラブレター kerakutenさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本が秀逸です
初老の夫婦の「いい話」といえば、ベタな展開を考えてしまいますが、
ともかくそこは、古沢良太脚本、ですから、
次のセリフが予想できない!
「えっ!そうきたか!」という感じです。
60歳男女の群像劇は、年齢を重ねた分「履歴」が重く、
まだそれぞれの生きてきた人生の対比がおもしろく、
なんで今までこういう映画がなかったのかな?とさえ思いました。
戦後生まれの平和な日本しか知らない彼らは
実際それほど若い世代と違ってはいないので
30~40代の人たちにも共感できるでしょうし、
団塊の世代のリアルな時代背景がちりばめられていて、
同年代の人はとくに楽しめるでしょう。
●東京オリンピックの頃に中学を卒業し、
集団就職列車で東京にやってきた「金の卵」といわれた世代
●高校生の時にビートルズ来日。
一番欲しいもの・・・「ギター」だった世代
●海外ドラマがテレビでみられるようになり、
ベン・ケーシーにあこがれて医者をめざした世代
●深夜ラジオ全盛で、DJの流暢な英語にあこがれ、
「海外留学」する少年少女が登場した世代。
●昭和50年ころのラベンダーブーム。
(幸福駅、なんてのもありました)
北海道、なかでも富良野にあこがれた世代。
若い世代の人たちはきっとスルーしてしまう、
ビートルズやベン・ケーシーに
きっと同年代の人は過剰に反応すること必至です。
ストーリーはネタバレになるので、控えますが、
それぞれの心情を掘り下げる、というよりは、
タイプの違う人間が交錯したときの
「化学変化を楽しむ」
作品といえるでしょう。
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