華麗なるアリバイのレビュー・感想・評価
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愛憎が中途半端…
この作品は舞台が現代(?)フランスのためか、あまりアガサ・クリスティらしさは感じられません。らしいと言えば…約10人の容疑者が登場して愛憎が渦巻いていることくらいでしょうか。
原作はポアロシリーズですが、この作品にはポアロらしき探偵も出てこないので面白味に欠けます。
しかしさすがフランス、登場人物がみんなお洒落なのでその点では楽しめます。
ストーリーは誰が誰だか分かりづらいので、先に原作を読むかデヴィッド・スーシェ版「名探偵ポワロ・ホロー荘の殺人」を観ておくと分かりやすくなると思うのでオススメです。
結末も中途半端で、それぞれの愛憎がどうなったのか気になるところです。
☆★★ ※ 鑑賞直後のメモから 観る前から「どうせアガサ・クリステ...
☆★★
※ 鑑賞直後のメモから
観る前から「どうせアガサ・クリスティーだからなあ〜」…と、完全に舐めてかかる。
実際問題として。アガサ・クリスティー原作映画に傑作などあり得ない…と、個人的には思っている。
大体、大勢の出演者が一同に介し。全ての人物達に人物関連図があり、全員にはアリバイがある。
更には、通信網が途絶え。一般社会からは断絶される。そんな《お約束》が、必ず同時に起こるシュチュエーションの数々。
まあ、本作品はそれとはほんの少し違う内容ではありましたが。それでもそれ程、大きな違いは感じられない。
それだけに。観ていると、前半はどうしても誰と誰が浮気をしたり…と、当然の様にミスリードを漂わせる。但し、浮気をしているのが男1人で。それがあの名作映画『氷壁の女』のイケメンガイドだった、ランベール・ウィルソンだったのを知った瞬間に、心の中で思わず叫んでしまった。
「いや〜!老けたね〜ランベール・ウィルソン!」
数年前に『迷宮の女』でも観たけれど。あちらは内容的に、絶えず画面から目が離せないサスペンス映画だったから、それ程は気にしてランベール・ウィルソンを観てはいなかったから…。
でもやっぱり老けたね〜!
そんな事を感じつつ、この辺りは後半にかけての伏線を巧妙に張る為に必要な時間帯。
しかし、観ていてもダラダラと時が過ぎて行くだけにしか感じない。
それだけに、「こうなったら、誰か早く殺されんかな〜」と思っていたら…?ありゃ〜その人殺されますか〜。
さあさあ!刑事出て来い!全員のアリバイを検証して犯人から自白を引き出せ!
………と思っていたが、刑事が乗り込む事もないんか〜い!
(原作を読んでないお前が悪い…って言う声が聞こえて来そうですが)
ここまで来ると、前半のダラダラを後半でピリッと締めてくれるのか?…を期待してはいたものの。残念ながらその思いも叶わずに、映画は最後までダラダラと進み。最後には「ん?あ…?えっ?」…と。実際には「んなアホな!」あるいは、「散々煽っておいてそんだけかい!」って意見が適切かなあ?
2010年7月25日 Bunkamura ル・シネマ1
人物相関図が必要
パーティに集まった10人。人物相関図がさっぱり読み取れないままストーリーは進む。アガサ・クリスティ原作の映画といえば、ほとんどが序盤に人物紹介があったりしてわかりやすいのだが、この映画に関してはそれが皆無。ピエール(ウィルソン)が浮気者だということだけはよーくわかった(笑)知ってる俳優も彼ひとりだし・・・
このタイトルにある“アリバイ”も普通の意味のアリバイとは違うし、怪しい人物を次々と登場させる手法に苦労した跡が見える。ラストの天窓から屋根に上るアクションシーンは盛り上がるけど、展開はつまらなすぎ!
謎解きも人間関係もあと少し足りない
総合65点 ( ストーリー:65点|キャスト:70点|演出:75点|ビジュアル:75点|音楽:65点 )
冒頭で古い車に田舎の古い邸宅が出てきたりするものだから、落ち着いた雰囲気の撮影もあって現代劇とは思えないような感覚になった。このあたりはフランス映画らしい。登場人物が多いし関係も複雑なので、どういう設定になっているのか把握するのが少々大変だった。それもあって謎解きにしても愛憎劇にしてもやや中途半端な印象を受ける。原作本を読んでいればもっと細かく理解できていたのかもしれないが、人物の背景をもっと掘り下げていたほうがのめり込めたと思える。
華麗かどうか。
名画座にて。
華麗なる…なんてタイトルがつくと、人間どうしても
期待してしまうもの^^;だが、その期待を裏切って(?)
ある意味、盲点を突いてくるような謎解き殺人劇。
う~ん…巧いといえば巧いけど、華麗かどうか。
原作を知らないので何とも言えないが、
ちょっと最近、こういう古臭い愛憎モノを映画で観る
機会が少なくなっているので、何気に新鮮な印象も。
とはいえ、あまりにくどくどと愛憎劇を見せられると
サスペンスの印象がどんどん薄れてしまい、残念。
案外このヒトが犯人だったりして…?と疑念を抱いた
ところで、あらら…な結末。あ、そうなんですか。。。
火サス的なドラマとして観れば面白いかもしれない。
(でも崖から飛んだりしないの^^;日本とは違うわねぇ)
クリスティの恋愛小説
ミステリというと、男性が好むものと思いがちだが、ハードボイルドやアクションではない本格ミステリは、どちらかといえば女性の方が好きなはずだ(「火曜サスペンス劇場」的な2時間の推理ドラマの視聴者はおば様たちが圧倒的に多いではないか)。当然、世界中に人気の女流推理作家がたくさんいる。そしてそれらの頂点に達しているのが、ミステリの女王アガサ・クリスティーだ。クリティーが世界的に人気のあるのは、もちろんトリックの巧妙さはさることながら、登場人物の心理や恋愛、そしてライフスタイルを詳細に描いていることにある。殺人事件がなくても、文学として楽しめる作品が多くある。そんなクリスティー作品の中でも、ファンの中では恋愛小説として楽しめると定評の『ホロー荘の殺人』が本作の原作だ。
クリスティーは『ホロー荘の殺人』で、エルキュール・ポアロを登場させたことを後悔しているという。その希望どおり(?)本作に探偵は登場しない。舞台を現代フランスに置き換えて、スタイリッシュな(女性好みの)ミステリとして仕上がっている。
郊外の屋敷に集まるゴージャスな人々(実際のキャストもゴージャスだ)。プールで泳ぎ、狩猟やディナーを楽しむ。憧れの上流階級のライフスタイルにうっとりとする。しかしそこに集まる人々は、それぞれがそれぞれの事情や情事を抱えていて、何食わぬ顔で付き合っていても、内側はドロドロな人間関係、これこそミステリの醍醐味だ。
前述のとおり、本作には灰色の脳細胞を持つ有名探偵は登場しない。お腹の弱い警部さんが、果敢に一筋縄ではいかない容疑者たちにアタックするも、今ひとつ手がかりがない。そんな中、登場人物のそれぞれがそれぞれのアプローチで事件解決のために(あるいは解決させないように)奮闘する。
クリスティー・ファンとしては、もう少しそれぞれの心情を精緻に描いてほしかったし、クライマックスのアクションシーンは閉口するし、物足りなさはあるのだが、こうしてクリスティー作品が今でもなお映画化される喜びは大きい。過去にもう1本クリスティー作品を映画化しているボニゼール監督に、今後もクリスティー作品を映画化し続けてくれることを希望したい。
少し謎解きのスピードが速いのと、後半の途中で犯人がわかってしまうどころか、ラストではすばり犯人が誰かわかってしまう犯行に打って出る展開には、興ざめしました。
愛は極上のミステリーとよく比喩されます。そんな喩えを地でいくような作品が、本作のメインテーマ。
ミステリー要素よりも、登場人物よる優雅な世界を覗き見できる楽しみにポイントを置いていると思います。そのため犯行動機の感情や犯罪行為は、やや伏せられ気味になってしまいました。
謎解きを追うよりも、ストレスの多い現代人の日常や、事件に絡む男と女の葛藤しあう姿を追い、次第に速度を早めて、真相に迫っていきます。
少し謎解きのスピードが速いのと、後半の途中で犯人がわかってしまうどころか、ラストではすばり犯人が誰かわかってしまう犯行に打って出る展開には、興ざめしました。
また、主役のポワロを欠いた進行は、どうしても謎解きを進めるストーリーテラーを欠いてしまい、事実関係が淡々と進んでいくつまらないものとなってしまいました。余程の演出と構成を考えないと、ミステリー作品の場合、謎解き役の不在は致命的になってしまいがちだなと本作で感じました。
1946年に発表されたアガサ・クリスティーの名作『ホロー荘の殺人』の映画化したものですが、原作に登場するポワロは、舞台版に習って登場せず、登場人物のひとりして頭痛持ちの警部が登場のみの構成となっています。
やはり最後に、関係者を集めて、犯人はあなただといういつもの決めシーンがないのは、少しもの足りません。
けれども、ロケに使われたパリ8区に実在する高級ホテル、ソヨルジュ・サンクのお洒落な雰囲気、イギリス人とフランス人の食事や服装・習慣の違い、微妙な心の動きの温度差を、枠組みと状況を巧みに入れ替えて手堅く描く様は、単館系の映画ファンの心を満たしてくれる要素になることでしょう。
ある村の大きな屋敷にパーティーを楽しむため、上流階級の人たち総勢10人が集まり、理想的な休日を過ごすはずでした。
銃器コレクションが趣味の上院議員夫人の家に終末休暇に集まったのは学生の姪、精神科医と妻。売れない青年作家と彼に惚れている売り子、その青年が恋する女性彫刻家。そしてはるばるローマからは、著名女優が運転手同伴で登場してきました。
その総勢10人の滞在することになったメンバーのうち、女性たちの多くは、精神科医ピエールと関係を持っていたのでした。それを知るほかの男たちも内心嫉妬と憎しみの心をピエールに抱いていました。
宴も進む中で、そんな人間関係のごたごたが、いつしか底辺でくすぶり始めしたあげくの果てに、ピエール(ランベール・ウィルソン)がプールサイドで撃ち殺され、傍らにふたりの女性がうずくまっていた。
10人の滞在者全員が容疑者だというストーリーは、ミステリーの常道です。その動機として浮上するのが、殺されたピエールを巡る、もつれる愛と憎悪の連鎖だったのです。
しかし、殺人が起こるまでのプロローグが長すぎます。延々と登場人物の紹介と、その人間関係の説明が続いたのには閉口しました。
ラストで人間関係の綾がほどけるまで、人生の縮図を見せられているかのような愛憎劇です。その中で感じたことといえば、本心をチラとも見せない女は怖いといことです。但し、その犯罪の影にいる男と女の本性を最も厳しく見てい怖い女はアガサ・クリスティーなんでしょうね。
ちょっと「華麗なる」というタイトルが、ミスマッチのような気がします。
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