「奇跡体験!アンビリバボー」THE 4TH KIND フォース・カインド Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
奇跡体験!アンビリバボー
「フォース・カインド」の意味をテレビの特番等で知った人にはもはやネタバレだろうが、「地球外知的生命体による誘拐」である。他にも「第4種接近遭遇」と言われるが、そちらの方が一般的だろうか。本作で主演を努めるミラ・ジョヴォヴィッチはナレーターも兼ねており、冒頭で「信じるか信じないかはあなた次第」というどこかで聞いたフレーズと共に「実在の人物」とされるアビゲイル・タイラー博士を演じている。本作はPOV作品とも違う趣であり、実際の記録映像と再現ドラマで構成されている面白い設定だ。画面を2分割にしたり、4分割にしたり「24」のジャック・バウアーが出てきそうなシーンである。大半は再現ドラマで構成されており、ここぞというシーンは2分割方式でリアリティさを与えているのだが、このシーンがまぁ怖い。突然人が飛び上がるシーンは同じ反応をしてしまった。
本作の1番の強みは、実際の映像を公開するという衝撃的な手法をとったことである。日本の予告でも相当なインパクトを与えていたのが記憶に残っている。それでも半信半疑感が募ったのは、事が起きるその瞬間は画面にノイズが走り、こちらが見たいと思うそれらが見れないという事である。一瞬物凄い形相の人物が写ったり、空中浮遊している様に見えるのが分かったり、当時中学生だった私でも「上手い演出だな」と思ってしまう物だったのである。世界には不思議な体験をした話や記録映像が残っているが、これが本当だったら大騒ぎになるレベルの話だろう。
映画の宣伝効果もあり、舞台となったアラスカ州ノームは報道陣やオカルトファンが押し寄せる結果となり、観光業に大きな収益をもたらした・・・というハッピーエンドにはならず、日々矢継ぎ早に聞かれる報道各社にやめてくれという地元住民の苦労の日々。そして製作のユニバーサルは映画宣伝の為に虚偽の事件映像を使用した「パフォーマンス」だったと釈明。アビゲイル・タイラー博士も実在の人物なのかは分からないが、つまりは「ウソ」という事である。言わずと知れたフェイク・ドキュメンタリー作品の1種だ。普通に公開してもここまで話題にならなかっただろう本作は、巧みなプロデュース力によって様々な効果をもたらしたのである。ユニバーサル側は和解金で数千万を支払った模様だが、フェイク・ドキュメンタリー=POVという我々映画ファンの心に染み付いたイメージにガツンとお見舞いしてくれた様な作品だという事を忘れてはならない。