「まぁー冥土。」ノーボーイズ,ノークライ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
まぁー冥土。
この日韓共作映画、俳優にイケメン二人の演技派を揃え、
脚本に日本側から渡辺あやを迎えて、つくられている。
…確かにこれだけでもそそられる顔ぶれ^^;
しかし観終えた感想は、私個人の見解で韓国映画かな。
家族の取り上げ方がハンパでないところなど(モロ韓国ね)
住まい方や暮らしぶりなど、一昔前の日本を観ているよう。
ただしかし、こういう人間同士の絆には古さも臭さもなく、
淡々と描かれる互いの切なさが、訥々と胸に迫ってくる。。
明らかにどうしようもない生活難から抜け出せそうにない
(抜け出そうともしていないんだけど)逆境からの起死回生
ドラマを、観客はすごく期待してしまうのだわ…たぶん^^;
いやしかしー。
なにより驚いたのは、ずば抜けたオーラを発揮するこのヒト、
ハ・ジョンウ。まったく垢抜けない青年役だというのに(爆)
そのだらしない寝そべり姿ですら、存在感を丸出しまくり。
「チェイサー」での彼は、可愛い顔して殺人鬼(!)だったが、
今回の役はそのまんま普通人、こういう役をアッサリ演じる
器の大きさがなんか将来性を感じさせるなぁ…^^;
悪いが妻夫木くん、今回は完全に食われちゃってますね。
まぁ冒頭~ほぼ無口で通してきて、中盤、堰を切ったように
器用に韓国語を話し出す彼にも、けっこう驚きがあるけれど。
陰と陽の関係とも見える、彼らの間には「家族」が横たわり、
それを「捨てたい」側と「捨てられた」側の、各々の闇がある。
いまどき、こんな不幸な家族が!?と思うほどリアルに
ひとつ屋根の下に暮らす亨(妻夫木)の家族がなぜか明るい。
昔から「貧乏子沢山」とはよくいったもので(意味が違うが^^;)
こんな生活、イヤだ~!と叫びながらも、案外楽しい瞬間が
あったりする。親に捨てられ(あるいは父親が行方不明?)の
男女からすれば、どうしようもなく楽天家族に映るのだろう。
切りたくても、切れない絆。
結びたいのに、結べなかった絆。
この描き分けがかなり上手い。
結局のところ、彼らは同じことを経験してきた同士なのだ。
多くを語らず、男泣きに咽いでも、なにかを守ろうとして
自分を危険にさらすことを由とする男の性分のようなものを
最後まで日韓演技対決!で魅せてくれる…。
これは、私のように意気地のない女(汗)には叶わない闇だ。
その闇に光を当てたラストのアッサリ感も、韓国映画らしい。
(でも最初の人魚は怖かった^^; マーメイド感ゼロだもんな。)