ブロークン(2008)のレビュー・感想・評価
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「イギリス、冬には太陽の光すら冷たい」と誰かが言っていたのをオープ...
「イギリス、冬には太陽の光すら冷たい」と誰かが言っていたのをオープニングを見ながら思い出しました。全体的に冷たい空気をまとった作品です。
笑いがあるシーンは最初の数分、そこからゆっくりとじわりじわりと怖くなってきます。
イギリス英語の勉強とターミネーターのテレビドラマで出演していたリナ・へディが好きで観て見ました。
鏡の中のもう一つの世界
鏡の中にあるもう一つの世界。
自分以外の人間は全て宇宙人なんじゃないか?と疑いを持つ物語は、SF映画の中ではよく使われる要素でしよう。
観終わったばかりで直ぐには思いつかないが、『光る眼』などはそんな1本だったかな?
最近では『ノイズ』が近いか。手塚治虫がブラックジャックの挿話で、危険な手術を受ける少年の不安から来る妄想で、似たような話を描いていたのを思い出します。
主人公の女性の家庭では父親の誕生日を祝い幸せそのものだった。
しかしその幸せな空気を一瞬の亀裂が引き裂いた。
以後、生活に密着した全ての物が主人公の眼には不安感を増幅し、耐え難い妄想に脳内は支配され、精神をも圧迫する。
やがて少しずつ記憶の断片のパズルは嵌り始め、 妄想は現実味を帯び、確信へと近づく。
“表の住人”が必要な時に“中の住人”が呼ばれる。
壁が取り払われた事で、中の住人が自分の意志で飛び出して行動する。
果たして今、目の前にいる人間はどっちなのか?
そして記憶を甦がえらせた時に、この鏡の前に居る自分は…。
スーパースローを多用して事故の前後の記憶を必死に手繰り寄せ様とする主人公。凝った編集により、過去の記憶を含めて短いフラッシュバックで幾度となく繰り返される。
かなり難解だけれど、もの凄く刺激的なサスペンスドラマでした。
それだけにあからさまなヒッチコックの模倣は余分な気がしましたが。
(2008年11月19日テアトルタイムズスクエア)
映像は美しく、空気感も素晴らしいが・・・。
○
突き付けられた真実に「えぇ~うそ~ん」ではなく、
「あぁ~やっぱり、そっち方面なんだ」と納得。
病院で“内臓逆位”の症例に興味を示している
X線技師のジーナ(レナ・ヘディ)はロンドンに暮らしていた。
父親(リチャード・ジェンキンス)の誕生日を祝おうと、
恋人のステファン(メルヴィル・プポー)、
弟のダニエル(アシエル・ニューマン)、
そしてダニエルの恋人のケイト(ミシェル・ダンカン)と
サプライズでパーティーを開き楽しんでいた。
すると、その最中に、大鏡が突然割れてしまう。
「鏡が割れると7年間不幸が続く」という迷信を笑いながら口に出すが、
鏡が割れることで起こり始めた不幸は、迷信以上かもしれない。
職場からの帰り道にジーナは自分と同じ赤いチェロキーを運転する
“自分”とそっくりの人物とすれ違う。
その彼女を追いかけ、彼女のアパートに忍び込むと、
その部屋は自分の部屋と全く同じであった。
父親とのツーショット写真以外は・・・。
その帰路に交通事故に遭ってしまったジーナは、傷は軽かったものの、
記憶の一部を失ってしまい、それから、恋人が別人になったように感じ、
家族にも違和感を感じ、“カプグラ症候群”と病院で診断される。
冒頭に提示されるのは“エドガー・アラン・ポー”の
“ウィリアム・ウィルソン”だそうです。知らんけど。
その作品にインスパイアされた作品。
観ようと思って結局観ずに行っちゃったけど、
“フローズン・タイム”の監督ショーン・エリスが長編2作目で描き、
仕掛けたのは“美しきシンメトリー・サスペンス”だそうです。
写真家でもある彼が切り取る映像は、確かに美しく、魅力的で、
別の顔を演じる役者の気持ち悪さ、街の重苦しい空気感、
そして、音楽も効果音も、不安をこれでもかと煽る。
で、ちょっと眠くなり、鏡の割れる音にビックリする。
何度も観ることになる交通事故のシーンはハイスピードカメラを使用して
正面衝突を撮影し、スローで見せ、衝突し車が凹んで、
ガラスが粉々に飛び散る様子まで綺麗に捉え、
俯瞰からのショットも美しい、けどちょっとウザイ。
不安を煽るだけ煽って、見せない事で、
緊張感を持続させるんだと思っていたら、いきなりホラーテイストになり、
その映像は漫画的で、笑っちゃいそうになったけど、
誰も笑っていなかったので我慢する。
恋人が別人になったとか、家族も怪しいとか、
要素としては侵略系の作品などではあったし、
新しくもなんともないんだけど、何をどうしようとしてるのか、
目的は単純に分かるようなことだけなのか、
大体ヤツラはコチラが分かっているだけ存在するのか、
はっきり分からないことが新しいのか、
その分からなさも気持ち悪いでしょ?ということなのか、
そもそもその解釈が間違ってるのか、分からん。難しく考えすぎか?
入場前に普通サイズのチラシと一緒に渡された
小さめの折り畳みのチラシを開いたら、公式サイトにもあるが、
作品に散りばめられたキーワードがあり、ネタバレ注意の文字を見て、
急いで閉じて、鑑賞後に見てみたけど、
注意してオカシイと思いながら観てた部分もあったし、
ナルホド!ということもないんだよな。ネタを知って、
キーワードを気にして、見返すと全てを計算しているような作風だから、
ナルホド!があるのかもしれない。
ていうか、オチの解釈が間違ってるのか?
間違ってなければ、ありがちだったかな。
「アザーズ」「シックス・センス」が好きな方に・・・
ハリウッド映画ではない、英仏映画の上品さと香りがします。「結局、あれはなんだったの?」という箇所がいくらかあり、脚本には粗さも見えますが、最後まで飽きさせません。宣伝では「シンメトリー・サスペンス」と書かれていますが、その「シンメトリー」の意味が分からず、調べてみると「シンメトリー(Symmetry)とは、ある変換に関して不変である性質のことを言う」そうです。これが後半物語のキーとなります。この秋の意外な秀作です・・・。
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