「色々な意見もあるけど好きな作品」真夏のオリオン 市橋栄治さんの映画レビュー(感想・評価)
色々な意見もあるけど好きな作品
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いわゆる戦争映画と言うよりは、ヒューマンドラマとして観た方が楽しめる作品かと。
他の方が指摘するように、戦争映画としての作り込みとしては、ツッコミどころ満載ではあるけど。
一人のリーダーとしてのあり方に共感した映画でした。
特に印象的だったのは『潜水艦を選んだのは自由だから。』という主人公のセリフでしたね。
戦争反対なんて、絶対に口にできないあの時代に、それでも自分の信念を曲げないために自分に取りうる最善の方法を選んだんでしょうね。
それは回天を『もったいない』というギリギリの表現で出撃させなかったり、緊迫した場面でも敢えて空気を読まない『飯だ』と合意に気持ちを切り替えさせたり。
こういうのって、独立した組織として動ける潜水艦だから取れる行動なんだろうなって思いました。なにせ一度潜航したら外部と連絡なんて取れない訳だから。
また、信頼する沈んでいった同志から最後に貰ったメッセージを元に、亡くなった乗組員に楽譜を入れた瓶を持たせて、敵の艦長へ想いを届けるあたりは、敵である艦長が軍人として優秀である事を認めていて、優秀であるならば自分の想いも伝わるはずと考えられる思考がないと思いつかないですよね。
戦争なのだから、沢山の人が死ぬわけだけど。
自国の安全を保つ事が目的なら、ただやみくもに殺さなくても、相手の戦力だけを奪うという別のやり方で自分達の任務を実現できると考えている。そんな所があちこちに現れてて。だからこその潜水艦を選んだんだと。
ちょっと『永遠の0』にも通ずる部分もありますよね。
良い意味で空気を読まず、自分の信念を曲げずに生きた、素敵な館長の話として楽しめました。
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