「長谷部安春監督の職人技が冴え渡る」相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
長谷部安春監督の職人技が冴え渡る
相棒シリーズスピンオフ企画。
基本的には2時間ドラマで充分な内容ですが、これは天晴れ。長谷部安春監督の職人技が冴え渡る。
時々先走った撮影箇所もあるが、それもまた味の1つになっている。
先ずは《相棒》だけに、同じ女性を愛してしまった“新相棒コンビ”の組み合わせが絶妙と言って良い。
一応シリーズ物としてファン向けでありながら、私の様な余りシリーズを見ない者でも分かり易く作られています。
本家よりも断然このコンビのほうが!とまで…。まぁ、それは流石にファンが許さないだろうが。
と褒めつつも、この新相棒コンビが出会う理由等、“相棒”だけに成立しているが、普通に考えたら「何だよそれ!」となってしまう。要はそれを許容出来るかどうかで評価はガラッと変わってしまいますね。
《相棒》として、今回での社会派的なテーマはズバリ“天下り”
情けない2人のコンビや+もう1人の重要な人物とのやり取りでクスクス笑わせ、本家は高みの見物。更に周りの脇役達は自分の範疇でこの新コンビを高サポートとファンならば納得の内容。
警察上層部が、出来るだけ内部的恥部を隠そうとする辺りさえ悲哀とゆう笑いにすり替えてしまう。
一見すると底の浅い脚本だし、あくまでもファン向けに作られた感じがする。2時間ドラマの枠組みの中で収まるレベルの内容で、「あの人やこの人はどんな感じで登場するのかな?」と云った楽しみ方をさせる作り方なのは間違い無い。
そんなファン向けの為に高く評価される事は無いだろうと思われるのですが、そんな条件の中で面白い娯楽映画を作ろうと云った気概が感じられるのは嬉しいところ。
最近は直ぐに眠くなってしまう作品が多いのですが、「娯楽映画とはこうでなければ!」と云った作りが光ります。
(2009年4月4日丸の内TOEI 2)