「少ない公開にディファイアンス。」ディファイアンス ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
少ない公開にディファイアンス。
この映画で描かれる、約1,200人のユダヤ人の生命を救った
ビエルスキ3兄弟の史実を私はまったく知らなかった。
さらに今作を観るまで彼らが単なる善人なのだと思っていた。
(いや、別に悪人ではないのだけれど^^;)
よくいう「盗人猛々しい」とはこのことか~。と改めて感じた。
転じて図々しいの意味ではなく、本来の強さ・勇敢さを指す。
あの逞しさあってこそユダヤ人を囲うことができたのだと思う。
付け加えて、D・クレイグはやはり007でなくても食べてゆける^^;
かえってこちらで演じた兄役の方が、私には色気を感じられた。
ユダヤ人狩りから逃れ、森へ逃げ込んだ3兄弟のところへ、
続々と同胞たちが集まってくる。自分らの面倒で手一杯ながら
彼らを見捨てることができない兄は、彼らの世話をかってでる。
とはいえ、常に追われる身であり、またドイツ軍への復讐に
燃える次兄はソ連軍に入隊、村人の密告や同胞同士の確執を
経て、なんとか森で生き延びようとする彼らだったが…。
圧巻はラストの森からの脱出。容赦なく浴びせられる砲弾、
いくらパルチザンとて、抵抗むなしくどんどん殺されていく。
もちろんそれまでにも撃ち合い・殺し合いは数えきれないが
この危機一髪状態をどうやって打破するんだ!?と思ったら
(そうなってほしいとの)願いが通じて意外なことが起こる…。
もちろんダニエルが突然「007になる」なんてことはない^^;
兄弟愛の素晴らしさもさることながら、
少し前に公開された「チェ」に被る部分が多く、辛さも倍増。
抵抗軍たちを纏め上げることの難しさ、リーダーとしての資質、
運命共同体とは清廉な響きに聞こえるが、そんな生易しいこと
ではなかったのだとさらに感じ入ってしまった。
兄が「もうここまで。」と諦めかけた時に「前へ進むんだ。」と
声をかける弟の成長ぶりには泣けた。あのJ・ベルが…と思うと
もう感無量。L・シュレイバーの演技も素晴らしく、言うことなし。
(これはもっと全国公開すべき作品。ディファイアンスするぞっ!)