劇場公開日 2011年1月22日

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「緑より赤が好き」グリーン・ホーネット 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0緑より赤が好き

2011年2月1日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

ミシェル・ゴンドリー監督、まさかのアクション大作。

厳格で融通のきかない父への反発からヒーローを目指す、
という点はユニークだし、背景がミヨーンと伸びたりする
3D特化の格闘シーンや破壊満載のカーアクションも楽しい。

だが思うにこの映画……主人公の魅力にとにかく乏しい。
これってヒーローものにとってはかなり痛い事だと思う。

僕はどうも主人公ブリットの“無邪気な金持ち”っぷりが苦手で苦手で。
最初は『アハハこいつバカだなぁ』と笑ってられるが、父親が死んでも
生命の危機に晒されてもいっこうに成長する気配が見えない上、
挙げ句は自分の無能さを棚に上げて相棒をコケにする始末……。
こ、この金持ちのボンクラボンボンがッ!

そんな主人公も最後の最後の最後の方でようやく
使命に燃える男となるが、そこに至るまでが長過ぎて
ほとんど愛想を尽かしてしまっていた。
そういやブルース・ウェインやトニー・スタークも大富豪兼ヒーローだが、
彼らは独立独歩だし、人に責任をなすり付けたりしないもんなあ。

唯一、カトーの為に悪党共を己の拳で叩きのめすシーン
だけはカッコいいのだけど、『アドレナリンによって瞬発力や
危機回避能力が跳ね上がる』というのが事実かどうかはともかく、
特異体質でも無い主人公が突然あれだけ強くなるのは
どうにも腑に落ちない。

それと相棒カトー。
原作の設定はよく知らないが、カトーが格闘の達人である理由が
『幼少時代からスラム街を生き抜いてきたから』ってのは……。
上海ってあんな鬼のように強い人がゴロゴロ居るのかしら
(中国なら居ないとも言い切れないが)。
なんかこう殺気が足りないというか、ちょっと迫力不足。

それにキャメロン・ディアスも
インテリな役ってあんまし似合わない気がする。
華はあるが、彼女じゃなくてもいい役じゃないかな。

とまあここまで散々書いてしまったが、
暗黒街を仕切る男チェノ……チェドノス……チェルノブイ……
失礼、チェドノフスキーを演じたクリストフ・ヴァルツは良い。
冷酷だけどどこか間が抜けてるというか茶目っ気があるというか、
愛嬌があって憎めない。
あの妙チキな武器といい素敵なネーミングセンスといい、
やること為すこと面白くって、主人公達以上に出番が
楽しみなキャラだった。

以上!
退屈な映画とは言わないが、
3D料金を払って観たせいか、ちょっと損した気分。

<2011/1/22観賞>

浮遊きびなご