「期待はずれ」指輪をはめたい マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
期待はずれ
原作は読んでいない。
この映画を観る限り、いったいこの映画、いったいどんな人間に向けて、いったいどんなメッセージを投げたかったのか、まったく判らない。
予告篇から察するにコメディかと観ていれば、すべてが一時的な笑いのギャグで、それが次々と連鎖反応を起こしたりはしない。
中盤のスケートシーンもだらだらと長く意味不明。
公園のシーン、急坂のシーン、どれも描きたかった構図と色彩というだけで、単独の写真か絵画を観ているようだ。
連続した繋がりがまるでない映像の羅列は、とりとめがなく、何を楽しんで時間を過ごせばいいのか。
いったい本命は誰なのか、という推理も空回りなら、実は誰だったというオチも、なんだか落ち着かない。
コメディでもミステリーでもないとしたら、いっそのこと、事故は男女二人で遭っていて、指輪を受け取るべき相手(ひと)はすでにこの世にいないというオチのほうが、よっぽどスッキリする。
あとで原作の大筋を調べてみたら、実は輝彦には30歳までに結婚したい理由があったなんて、この映画のどこから汲み取ればいいのか。
三人の女優も、見たままの配役で面白みがない。
小西真奈美と真木よう子の役を逆転できなかったものか。
意外なところでは、二階堂ふみが、若い女性の二面性を上手く演じて見せる。その割に、ポスターやクレジットでの彼女の扱いは小さい。
そして、なんといっても山田孝之がもったいない。
「指輪をわたしたい」相手を先に見せてしまえばよかったと思う。
そのほうが、ただ三人の女優の間を泳ぎ回るだけに見えた山田孝之から、恋に敗れた切なさと、フラれた彼女を見返してやりたいという男の単純な馬鹿さが滲み出て来ないだろうか。
先に見せてしまったほうが落ち着くオチもある。