扉をたたく人のレビュー・感想・評価
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最後まで3人の物語で十分だったのに・・・ おばさんが出て来て余計な...
最後まで3人の物語で十分だったのに・・・
おばさんが出て来て余計な方向に行った気がする、残念。
静かに訴える
ウォルターとタレクの出会い。
ウォルターとモーナの出会い。
運命の出会いは、皮肉な別れとなる。
ただ運命として受け入れることしかできないなんて。あまりの人権の軽んじられ方に怒りを覚えた。
ゼイナブの服のセンスが好きだ。
開けてみたい
扉を閉じて生きるよりも、扉を開けた先に広がる人生の方が、もしかすると数十倍も満たされるかも。
私が扉を開けた先に待っている人達。
扉が開かれるのを待っている人達。
扉が開かれたら救われる人達。
移民に対しては賛否両論ありますが、まずは彼らの存在を知ること。自分の扉を閉め他者の存在を知ることができなければ、自分の存在も確かめることができない、そう受け止めました。
『サンバ』とともに
2014年の『サンバ」はフランスの話
あの9.11から6年後のニューヨーク
あの日からアメリカは一変したと移民たちは言っている、アメリカはそんなに古くない昔は誰の国でも無かったのに
歴史が浅いと人よりも力を信じるのだろうか
拳で人を守ることは出来るだろう、しかし拳は永遠ではない
その拳を振り上げるよりも手を開き彼のように包み込めたなら、そんな世の中ならばどんなにか笑顔が多い世界になるだろうか
優しくジャンベを叩けるようになった彼の手が真の怒りに変わってしまった。
音楽には偏見も国境も無い。
音楽には偏見も国境も無い。
亡くなった妻の思い出に生きる偏屈な大学教授。1人寂しく食事を取り、“忙しいふり”をしては他人との関わりを拒否している。
映画では詳しい説明は無いものの、9.11以降はごく普通に生活をしていたアラブ人コミュニティー達の中で大きな動揺が広がっている寂寥感らしき構図が、作品の内容からは伺われる。
タレクが逮捕される理由の1つには、やはりどこか“偏見”のキーワードが見え隠れするのだ。
それにはやはり、アメリカが《移民の国》としての一面が根強くあり、人々の心のどこかに彼らを“訪問者”と位置付けてしまっている気持ちの表れと思えて来る。
映画の前半はリチャード・ジェンキンス演じる偏屈の塊の様な主人公が、シリア人男性とアフリカ系黒人女性のカップルとの交流を通して、閉ざしていた心の扉を、少しずつノックされて行く過程が詳しく描かれて行く。
しかし後半は一転して、タレクの母親ヒアム・アッパスとの恋愛感情が芽生え始める為に、映画の前後半での変わり振りに若干の違和感を感じる人がいるかもしれない。
だがこの後半での2人による演技合戦が、映画としては圧巻の極みで、まさに大人の恋愛物語の側面も見せる。
しかしながらラブストーリーとしては、美男美女による共演でスイーツ女性のハートを鷲掴みする様な内容では残念ながら無い。
更に社会情勢に翻弄される冴えない中年の男女がお互いを気遣い、見えない国境の線の為に辛い選択を強いられる話。
だからこそ、映画の中で幾度と無く出て来る駅のホームで、一心不乱に…。
一般的なアメリカ人が“あの日”以降に感じる《訪問者》達の気持ち。表向きには解らない本当のアメリカの閉塞感を知るに至る。
この秀作がアメリカの主要な授賞式から無視されてしまう事実が、それを物語っていると言える。
(2009年7月15日恵比寿ガーデンシネマ1)
リチャードジェンキンスは初主演映画だったらしいが素晴らしい演技だっ...
リチャードジェンキンスは初主演映画だったらしいが素晴らしい演技だったと思うし、この映画にマッチしていたと思う。
この映画はジャンベという楽器がストーリーを通じて主に登場するが、映画全体を通しての音楽は主にピアノ音楽で、ストーリー展開も共にどこか「最強のふたり」を彷彿させるような感じがあった。それは個人的には好きだった。ピアノが上手に主人公の孤独を表していたように感じる。
ただしタレクが逮捕された後はタレクの登場は極端に減り、逆に母親と主人公のストーリーへと変化していき終わってしまったため、最後はタレクとのストーリーとしてしっかり終わらせて欲しかった希望があった。
もったいない
演技・俳優・女優、映画全体の雰囲気が共にても良かった。全編にわたって、静かでいて内に秘めている魅力が黙っていても溢れ出てきているような作品に仕上がっていたようにおもう。
しかし、私が唯一もったいないと思ったのはただのラブロマンスものに落ち着いてしまっているように見えたところだ。
終わり良ければすべて良しと言うように後半部分の盛り上がりはとても重要だ。
この重要な展開にしばしば唐突に愛を持ってきてしまったように思える部分があった。
例えば、タレクも無事釈放され安定した生活を手に入れ良好な関係を保ったまま終わってほしいだとか、視聴者を救済してくれるような展開を求めていたわけではないが、いかんせん結局愛に走ってしまうのかという落胆が私には残った。
扉をたたく人、という
扉をたたいたまでで、開けたのかは謎のまま。果たして開けるのかは謎のままというテイストは良い。このたたくという行為、ひいてはジャンベを奏でるという行為をもう少し大切に描写できていればこの作品は極上な仕上がりになったように思う。
俳優や女優や構成やカメラの腕前がなかなかであり、その仕上がりへの追求が可能であっただろうことを思うと非常に残念である。
この作品にはある程度満足させてもらったが、むずがゆくあと一歩もったいないところがあった、ということで星2,5です。
主人公の静かな演技が見物
総合65点 ( ストーリー:65点|キャスト:75点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
たくさんの不法移民がいてイスラム教徒に911以降厳しくなったアメリカで、このようなことなど数えきれないくらいある話だろうが、当事者にとっては人生を決定する重大事項である。しかし国家としては無制限に移民を受け入れるわけにもいかないのは事実であるし、テロとの戦いに直面しているときには猶更である。このような政府のやりかたに批判的な意見はある程度理解できるが、このような犠牲者はいつの時代にもいるし、善良な犠牲者側からの一方的な見方にも思えてあまり共感できなかった。
だが主人公の静かな演技と上手な演出によって、感情の薄い頑固な彼の心の変化がうまく描き出されていた。決まりきった日常を送り必要最低限の言葉しかしゃべらない彼が、太鼓を地下鉄で叩く姿に、彼が心を取り戻しやるせなさと不条理に対する怒りという、彼の感情の爆発が見て取れた。
心に長く留まる映画です
この邦題は象徴的で、良いです。まあ、タレクと教授の出会いは扉をたたくなんてもんじゃないですけど。
最初、堅物のウォルター教授にジャンベは似合わないと思っちゃったけど、内側に眠ってたんですね、熱いドラムのビートが。
人生のきらめきや絶望に、観賞後も心に長く留まっていきそうな感じです。
感情をあらわにしないウォルターは、リチャード・ジェンキンスの演技力あってこそですね。
なるほど名演技とか芸達者とはこういうものか、と思いました。
心の扉。
名画座にて。
公開時に観逃したので、絶対に観たかった作品。
評判通りの素晴らしい作品だった。
つい先頃DVDで観た「俺たち~」シリーズでは
どうしようもない父親役を演じていたR・ジェンキンス。
とても同一人物とは思えない…すごい役者だ^^;
冒頭の表情ひとつとっても、凍りつく空気感だった。
今作のテーマは扉をたたく訪問者に対して、どんな
対応をする人間と米国の在り様を描いているのだが、
冒頭の彼は、まず他人を排する態度をとり続ける。
妻が亡くなり、生きる気力を失くしたか、仕事にも
習い始めたピアノにも、なんの活力も見出せない。
まったく哀れで憎々しい爺さん、という造詣では
イーストウッドの作品「グラン・トリノ」とよく似ている。
彼に活力を取り戻させたのもやはり異国人だった。
ひょんなことから自分の別宅に不法滞在していた
カップルと出逢い、彼らの保護に奔走する姿を描く。
誰とも関わらず、他人を拒み続けた彼が、青年の
持つジャンベというアフリカン・ドラムに惹かれ始める。
来る日も来る日も練習に励み、彼と公園で演奏しては
楽しみを見出しはじめる彼だったが…。
犯罪者ではない不法滞在者に対する米国の対応が、
9.11以降大きく変わったのは他作品でも描かれていた。
今作でもそれが色濃く描かれているが、それを通して
主人公が怒りや慈しみなど心の機微を取り戻していく。
どんどん感情的になる彼の表情が、これまた豊かだ。
ここでもいわれるが、私たち人間は無力だ。
だからこそ大勢の協力を受けて生き長らえている。
他人を受け入れることに憶病だった主人公が、
恐々と開けた扉の向こうには自分を救ってくれる人も
愛してくれる人もいたわけで、あ~そうだったのかと
気づいた時に、思いきり感謝の意を示すべきなのだ。
伝わるものは必ずある。
それがあのささやかなラストだと思いたい。
(人の心にズカズカと上がり込んでくれてありがとう。)
こんな教授よくいるんですが
講義は20年間まったく同じ
まったくやる気の無い大学教授が
ニューヨークの別宅に勝手に住んでいた外国人を
いとも簡単に受け入れてしまうのかどうか?
と思ったが、それを否定しては物語が始まりません。
ジャンベというアフリカ太鼓などを教わるうちに
仲良しになっていきます。
と思ったら不法滞在がばれてしまって強制送還されて
しまうんですよね。
物語としてはそれだけなんです。
アメリカの移民問題の映画です。
シリア人の恋人がセネガル人だったり、シリア人の母が
やってきたりということでアクセントをつけてます。
とってもレトロな味がある川越スカラ座で見たんですが、
なんというか、B級+αというか
とっても単館にあっているほんわか系の
映画です。
シンクロ
観ていると、主人公と一緒に、音楽を聞いて気持ちが高揚して自然と微笑んだり、
彼のことで不安になったり、彼女に恋をしたりする。
20年間フリをしてきて、やっと動き出した時間は数日間で別れを迎えるけれど、
これからもきっと動き続けるだろうことを、ラストシーンが物語っている。
すばらしい映画だった。
静かに感動を呼ぶ名作でした。ジェンキンスの演技も最高です。
本日は、こんな素敵な作品にご招待していただいたマイミクさんに、心から感謝します。全米で僅か4館の公開が、口コミで270館に拡がり、半年間のロングラン興業の結果、興行収入でベスト10に入った作品です。
何がアメリカ人の心を掴んだのか?その背景には、9.11テロ以降、移民政策の唐突な変更が、本作で描かれるような人権問題を引き起こしていることがあります。違法滞在者に対する余りの仕打ちにも主人公のウォルター同様の憤りを感じたアメリカ人は多かったのではないでしょうか。
本題の『扉をたたく』は、巧みなネーミングだと思います。かつて「人種のるつぼ」と言われてきたアメリカでも、9.11テロ以降は、マイノリティに対して不寛容な空気が増してきて、その『扉』は堅く閉ざされたのです。
本編に登場するシリア難民のタレクなんか、ちゃんと難民申請して、アメリカの学校を出ているのにもかかわらず、「書類の不備」という理由だけで、家族を残したまま、母国へ強制送還されてしまうのです。なんとも理不尽です。
そんな色濃い社会派作品ながら、本作は、淡々と登場人物に起こる出来事を静かに追いかけるだけで、そんな理不尽に沈黙しているかのようでした。
何故寡黙な作品なのでしょうか?
それは主人公のウォルター自身が、妻の死後、全てにおいて拒絶して、心の扉を深く閉ざしていたからのです。
妻が上手だったピアノを覚えようとしても、ピアノ教師の指導を受け入れず、4人も解雇したものの、上達しないことに苛立ったり、講義は講義で、20年間同じレジュメを使い回して、忙しそうなそぶりだけ見せたりで、人間らしさすら失せていたのです。
そんな主人公だったので、立ち上がりはとても淡々となったのです。
そんなウォルターの心の扉をたたいたのがシリア難民のタレクでした。彼は、騙されてウォルターの管理するアパートに彼女のゼイナブと勝手に住んでいました。行き場のないタレクを哀れみ、次の住処が見つかるまで、ウォルターは二人の居住を許します。
仕事の関係で、ウォルターもアパートに滞在することになります。この共同生活は、深く閉ざしていたウォルターの心を和ませていったのです。
もう一つウォルターの心の扉をたたいたのが、タレクが演奏するジャンベ(アフリカン・ドラム)もともと音楽が好きだったウォルターにとって、4ビートの五線譜で演奏するクラッシック音楽よりも、3ビートの魂の鼓動でたたくジャンベのリズムが新鮮に響いたのです。タレクにジャンベを習うようになり、ウォルターはそのリズムに生きている実感を蘇らせていくのでした。
本作は、アフリカン・ビートへのオマージュを強く感じました。太古のアフリカの大地では、コミュニケーションの手段だった太鼓やドラムなどの打楽器は、敲くほどに人と人とを理屈抜きに結びつけるものであったのでしょう。
タレクは、ウォルターを公園で繰り広げている大勢のセッションへと連れて行きます。 最初は、戸惑うウォルターでも、ジャンベを無心に敲くうち、メンバーと呼吸がぴったり合うようになります。
ジャンベの奏でるリズムは、人種や民族を超えて、理屈抜きで人々を結びつける力があるものだと感動しました。ここに、きっと本作の見えないメッセージが隠されているのだと思います。
そして満面の笑みを浮かべるウォルターを見ていると、シャンベがウォルターの心の扉をたたいたのが、分かりました。まるで閉ざされた心から閂の外されたかのような表情だったのです。
せっかくの二人の友情も、タレクが逮捕されることで、直接ふれあうことはできなくなります。しかし、それ以降のウォルターは、休職してまで、タレクの出所に全力を尽くします。心の扉を開くとき、こうも人は愛と情熱に目覚めるものでしょうか。
そして圧巻は、タレクを心配して南部から単身上京してきたタレクの母親モーナへの献身ぶり。ウォルターの尽力空しく、母国へ強制退去させられたタレクを追って帰国するモーナとウォルターの別れは切なかったですね。いい仲になりつつあっただけに。そして一度出国するともう二度とモーナはアメリカに入国できないのでした。
私もウォルターのように、マイノリティーに心の扉を拡げたい。そう思って目頭を熱くしたアメリカ人は続出したのでしょう。
静かに感動を呼ぶ名作でした。ジェンキンスの演技も最高です。
孤独感
ジャンベが出てくる映画ということと、前評判も高かったので、恵比寿ガーデンシネマへ見に行ってきました。
とても地味ながら、観る者へ何か楔を打ちつけてくれるいい渋い映画でした。
じんわりきます。
作品全体を覆うテーマは、孤独感、他人との絆。
米国における移民問題を提起しているようにも受け取れましたが、それはモチーフなんだろうな、と今、思いました。
とはいえ、米国を覆う911以降の変化における人々が翻弄されていくさまも描かれていて、これは日本人にはなかなか理解ができないテーマなんだろうな、とも。
ラストシーンには目頭が熱くなりました...。
この映画を観て、ジャンベを叩くことに興味をもってくれる人が増えてくれることにも期待です。
ホント、皆で叩くのは理屈抜きに楽しいのだから!
心に響く
ずっと孤独で暮らしていると、人生そんなものだろうって思えてくる。でも、一旦、誰かと関わると、孤独が耐えられなくなる。
不法滞在の青年と出会ったことで、孤独な教授の人生が変わっていく過程が、現在のニューヨークの現状を通して、とても良い感じで描かれてると思います。
9.11以降、不法滞在問題に厳しくなったニューヨーク。この映画では、不法滞在者側に感情移入してしまうけど、善悪はよくわからない。
そう言うことを考えるきっかけにもなる作品です。
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