「エピソード2.5/最後のルーカス。 やっぱりスター・ウォーズは実写で観たい。」スター・ウォーズ クローン・ウォーズ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
エピソード2.5/最後のルーカス。 やっぱりスター・ウォーズは実写で観たい。
スペースオペラの金字塔『スター・ウォーズ』シリーズのスピンオフで、『エピソード2/クローンの攻撃』(2002)と『エピソード3/シスの復讐』(2005)の間に起きた出来事を描く3DCGアニメーション。
ジオノーシスの戦いの後、共和国と分離主義勢力との戦争は銀河全土に広がっていった。
その最中、銀河外縁部を支配するジャバ・ザ・ハットの息子が何者かに誘拐されるという事件が発生する。ジャバと協力関係を結びたい共和国は彼からの救援要請を受諾。息子の救出にオビ=ワンとアナキンを向かわせる…。
○キャスト
メイス・ウィンドゥ…サミュエル・L・ジャクソン。
製作総指揮はジョージ・ルーカス。
2023年現在、『SW』シリーズには9本の本伝と3本の外伝、計12本の映画が存在します。ドラマやアニメは膨大な数がありますが、映画だけだと意外と少ないんですね。
おそらく本作はその中で最も影が薄い。コアな『SW』ファン以外は観てないんじゃないの?
プリクエル完結後、ジョージ・ルーカスは『SW』のアニメ化を企画。テレビアニメ全100話により「クローン戦争」を本格的に描こうと考えます。
この企画は『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』というタイトルで実現され、2008年から2020年まで続くご長寿シリーズ(全7シーズン/合計133話)となりました。
本作はその長大なテレビシリーズに先駆けて公開された序章。また今や『SW』シリーズの最重要人物となったアソーカ・タノが初登場する作品でもあります。
クローン戦争の内幕はすでに『スター・ウォーズ クローン大戦』(2003-2005)というテレビアニメで描かれていますが、本作はその続編という訳ではないらしい。ただ、本作に登場するシス見習いのヴェントレスはこの『クローン大戦』に登場するキャラクター。『クローン大戦』未見の人は「…この人だれ?」みたいな感じになってしまうだろう。はい、私はなりました。
まぁそこ以外は特に繋がってはいなさそうなので、映画シリーズさえ追いかけていれば物語についていける事でしょう。
テレビアニメ版の序章という立ち位置ではあるが、本作のみで物語として十分に成立している。「この物語の結末はテレビを見て確かめてくれ!」みたいな悪徳商法ではなくって一安心。
時系列としては『クローンの攻撃』と『シスの復讐』の間ということになるのだが、作風はプリクエルよりもオリジナルに近い。ジャバの息子(いたのかよ!?)もアソーカも可愛らしくて明るいキャラクターなので、自然と映画の雰囲気も柔らかいものに。敵対するドロイド軍も今作ではよりポンコツ度が強めに描かれているため、プリクエル特有のあのシリアスな空気は微塵もありません。
そのため終始イライラしていたアナキンも今回はなんだか柔和で、主人公らしく好感の持てる人物となっている。
にしても、アナキンとアソーカのコンビはかなり相性が良い。映画本編にもアソーカ登場してくれればよかったのに〜…。
…にしても、アソーカの頭のアレは被り物?それとも身体の一部?
アナキン、オビ=ワン、パドメといったメインキャラクターは本作にも登場する。…が、C3-PO、ドゥークー伯爵、メイス・ウィンドゥ以外は残念ながらキャスト変更。
日本語吹き替え版では映画本編と同じ声優が起用されているので、吹き替え派にとってはなんの問題もないんだけど。
お馴染みのオープニング曲も微妙に変わっている。
「ジャーン!!!ジャカジャジャーンジャーンジャジャジャジャーン」が「テレレテレレテレレテレレ…テーレーテレレレーレー」みたいな感じ。文字にしても全然伝わらないですね😅
あのお馴染みのオープニングクロールも今回は無し。代わりにナレーションが色々と読み上げてくれるんだけど、吹き替え版ではこれがまさかの若本規夫さん!
「銀河はぁ分断されたぁ!!!ジィオノーシスの戦いの後ぉ、分離ぃ主義ぃ勢力ぅうはハイパァスペェス航路を封鎖ぁ!!」
…いやもうナレーションの癖がスゴい!!全然内容が頭に入ってこない…!!
唯一無二の若本節が堪能出来るという意味でも吹き替え版はとってもおすすめです♪…全然内容が頭に入ってこないけどね。
タトゥイーンで行われるアナキンとドゥークー伯爵のライトセーバー戦やジャバ・ザ・ハットの親族登場など、ファン垂涎の展開が目白押し。
だからこそ、これがアニメじゃなくて実写映画だったらどんなに良かったことかと思ってしまう。
アニメのクオリティは低くはない。デフォルメの効いたキャラクターデザインも、最初はちょっと違和感あるけどすぐ慣れる。
ただ、目を見張るほどの凄い映像や、センス・オブ・ワンダー溢れるアニメならではの演出なんかは見受けられません。
アニメを下に見ている訳では断じて無いが、やはり『SW』は実写映画のイメージが強い。
今回のエピソードはどうしてもアニメじゃなきゃダメなんだ!という場合じゃない限り、やはり実写で作って欲しいなぁ。
ジョージ・ルーカスは2012年にルーカスフィルムをディズニーに売却。『SW』シリーズの主導権はキャスリーン・ケネディ最高議長の手に渡ってしまう。
ディズニー体制になった後もルーカスは製作に携わるつもりでいたらしいのだが、シリーズの手綱を握りたいディズニー帝国は彼をなおざりに扱った。
あっ!と思った時には時既に遅し。オリジナルクリエイターである筈のルーカスはシリーズに関わる事が出来なくなってしまいましたとさ…。
この件についてルーカスは「自分の子供を奴隷商人に売り渡してしまった」と発言するなど全く納得していない様子。フォースの暗黒面を感じる、闇の深い一件である🌀
そんな訳で本作がルーカスの携わった最後の『SW』映画作品となってしまった。
オリジナルクリエイターがシリーズ作品を作ってくれる。その有り難みを噛み締めながら本作を鑑賞するのもまた良いのではないでしょうか。
ありがとうルーカス。圧倒的感謝🙇