落語娘のレビュー・感想・評価
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語れば死ぬ?禁断の落語
呪われた噺・・・80年前に呪われたという“緋扇長屋”という落語を書いた噺家が心臓発作で寄席に向かう途中死んでしまった。そして40年前、その封印された噺を披露しようとした噺家も高座途中で死んでしまう。テレビ局はその禁断の噺に挑む落語家として、異端児である三々亭平左を選んだのだ。
ほとんど怪談である緋扇長屋。吉原通いを始めた若旦那がずるずると加代という花魁に熱をあげたが、彼女の後見人である高利貸し婆が勝手に妾話を進めてしまい、若旦那が遊び人にそそのかされて火事で殺そうと計画。しかし、火をつけたところ、その家にいたのが加代だったという内容だ。呪われることを恐れた平左はオチをトイレに落とし、創作で噺をまとめたため助かったという・・・どちらが落語なのかわかんないようなストーリー。
落語娘の成長物語であると同時に、平左と柿紅の仲直りの話。津川雅彦の落語も立派なものだが、ミムラの寿限無も最高。また、テレビ局プロデューサーの伊藤かずえも40を過ぎているけど美しい。津川雅彦にやられちゃうんじゃないかとハラハラしながら観た・・・
ミムラが好き
ミムラが好きでだいぶ前に見た。
落語に興味が特にないが、落語の世界が垣間見れて面白い。考えてみたら、のようなもの、しゃべれどもしゃべれども、とか他にも落語映画見ていた。あれ、他にもあるぞ、なんだっけ。
ミムラの主演映画ってこれくらいしか、ないから、僕的にはミムラのイメージビデオ的な感覚だ。
津川雅彦と益岡徹がリアルに落語家みたいだった。いい味を出してる。落語家を知らないんだけど。
女の落語
近くのDVD屋に置いてない上、ウィキペディアも存在しないという希少?な映画。
ミムラファンということでずっと見たかった作品をテレビの放送でやっと見ることができた。
感想は・・・・・・・津川さんすげぇ・・・
終盤のシーンはもちろんだが終始師匠としての存在感を感じさせた。
プライドが高い益岡さん演じる三松家柿紅が崇めるだけある風格があった。
作品のテーマ、落語娘との名にあるように「女の落語」が、
恋や男社会での肩身の狭さなどから描かれていた。
特に話の鍵となる呪われた噺にもつながっていてまとまりがある。
その噺が純粋な語りでなくドラマを混ぜていることに賛否両論あるが、
私はこれでよかったと思う。
噺には霊が乗り移るだけの気迫が必要だが、
いくら津川さんでも本物の落語家のような語りをするのは無理だろう。
ドラマの中のばあちゃん(名前が分からないが)なんかの演技は素晴らしく
引き込まれる魅力があった。
ミムラは津川さんに比べ見せ場が少なかったが、
落語を愛する新米の女落語家をしっかりと演じてた。
落語があんまりうまくないのもちょうどいい感じだったと思う。
全体的にコミカルな感じで
CGが陳腐だったり、リアクションの表情がオーバーだったりしたが、
(呪われた落語のオチなんかも)
それもユーモラスな落語の映画ならではだろう。
ミムラ扮する女落語家の成長をもっと見たかったが
津川さんの迫力ある噺もあったし
落語映画として十分見ごたえのある作品だったと思う。
<追記>
基本的に新米の情けないシーンばかりだったが
啖呵を切るシーンなんかでミムラの魅力は十分に堪能できたので
その点からもよい作品だったと思う。
ミムラは「ビギナー」以来のファンなので
これからも期待して追っかけたいと思う。
大人向けのコメディです。
今も男尊女卑や先輩後輩の戒律が残る落語界に飛び込んだ女性が破天荒の師匠についたものだから起こるドタバタ物語。
破天荒を表す部分ではテレビ向きとは言えないところもあるけれど、後は主演のミムラが落語を熱演し安心して見られる単純なストーリー。
DVDにコメンタリーが無いのは残念。落語をあまりご存じでない方は特典ディスクにある落語マメ知識が参考になると思います。
笑いに勝ち負けは似あわねぇ
映画「落語娘」(中原俊監督)から。
俳優が、落語家の役をやるって難しいだろうなぁ、
台詞だけでなく、落語も覚えなきゃならないし、
なんといっても経験で覚える「間」なんかも、
それらしくみえなきゃならないんだから・・。
さて、選んだ一言は、津川雅彦さん扮する
主人公の師匠・三々亭平佐が、いろいろな場面で口にする
「人を楽しませるのに、高尚も何もない」や
「高尚もへったくれも、ありゃしない」を代表する言葉。
最近、落語の世界だけでなく、漫才やコントも含め、
「グランプリ」と称して、優劣を決めたがるが、
本来は「笑いに勝ち負けは似あわない」と私も思う。
人によって、その瞬間の感情も違うし、当然笑うつぼも違う。
単に、面白い、楽しい、それだけでいいじゃないか。
笑いまで、勝ち負け、順位をつけることに疑問を感じているから、
この一言が、輝いてみえた。
落語娘というよりもプチホラーに近い怪談話が枕の作品でした。オチも痛快!
11月公開の『櫻の園』は酷かったけれど、本作は落語好きな中原俊監督が芸の道の世界を細部までリアルに演出してくれており、見応えありました。落語家の話なので、落語が出来ないと始まりません。ミムラは二ッ目クラスの話だけど、『寿限無』は徹底練習したようで、かなりの早口で流暢に捲し立てるところはすごいと思いました。日活では3年間の女優としてのブランクを気にしていましたが、全く感じさせない熱演でした。
特に協会のリーダー的存在である三松家柿紅に、自分の師匠との縁切りを進められたときにきっぱり断ったときの啖呵が、いなせでよかったです。
ちなみに指導した柳家喬太郎師匠からは、「彼女こそ僕の一番弟子」とまで言わしめたそうです。努力家なんですね。
津川雅彦は、もう大看板の貫禄たっぷりの話芸を披露してくれました。あの語り口を聞いていて、ふと彼の監督作品『次郎長三国志』との共通点が浮かんできたのです。ちょっと早口でたたみ掛ける台詞回しは、長年の役者修業を積んだ自信のなせる技なのでしょう。
津川演じる平佐師匠の口癖は、芸というものは稽古を積めば出来るってもんじゃねぇということでした。芸というものは霊なんだというのです。ネタを語るのでなく、ネタに語らされている、乗り移られるようになってこその芸なんだというのですね。でも役者カンが効く俳優ってやっぱり天才肌なんでしょう。そういうところが津川本人にもあって、監督やっても素晴らしいものを作ってしまうだと感じました。
その点柿紅師匠は、努力家で厳格。平佐師匠とは好対照です。でもどんなに頑張っても、古典落語のコピーの範疇では、平佐師匠の自由闊達な芸風を越せなかったようです。私生活では、隙あらば弟子にソープ代をせしめようとする師匠に、愛想尽かしていた香寿美が、平佐師匠の実力と人間味に気がつくところが本作のポイントですね。落語で言えば人情噺になっていました。
ところで、噺家が余りにネタに「憑依」されると、命まで持って行かれてしまうという怖いエピソードが『緋扇長屋』の話にまつわる噺家の間の伝説が本作の枕になっています。一見滑稽無頭ですが、平佐師匠の語りにかかると真実味を帯びてきます。実際に挑戦した噺家が高座で死ぬくだりは、ちょっとしたホラー映画のようでした。
そして40年ぶりに『緋扇長屋』を高座に上げる平佐師匠にも魔の手が忍び寄ります。平佐師匠はどういう手で、ネタにこもった怨念から逃れることができたのか。ラストに思いもよらぬオチが用意されていました。へぇ~そうだったのと唸ってしまう、オチにぜひご注目を!(落ち着きませんであいすいません)
『緋扇長屋』の演目は、ほとんどが時代劇として再現されており、落語が苦手な人でも劇中劇として楽しめます。
最後に本作では、芸の世界の男尊女卑ぶりも徹底して描かれています。
厳格な柿紅師匠が、「あんた、女のすし職人が握った寿司がうまいと思うかい」という問いかけは、客商売である以上一理はあるでしょう。ただ、劇中にも描かれるセクハラの酷さは目に余ります。
香寿美の偉いところは、それでも気丈に兄弟子たちの世話を黙々とこなし、ついには柿紅師匠を認めさせるところでした。
『噺家は男じゃなきゃいけねぇなんていうのは、俗を知らない独りよがりの思い込みよ』という平佐師匠はバンカラさばかりでなく、人の心の機微を知った優しさの持ち主でもあったのでしようね。
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