「後処理はどうするのか」ミッドナイト・ミート・トレイン Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 後処理はどうするのか

2022年7月7日
iPhoneアプリから投稿

北村監督のハリウッドデビュー作は残念ながら日本未公開だったが、ホラーファンならば誰もが知る作品ではないかと思う。個人的にだが日本未公開作品で面白いかつまらないかの判断基準は本作に匹敵するかどうかを真っ先に考えてしまう位だ。 電車を舞台にしたホラーは意外と多く、「0:34 レイジ34フン」や、「テラー・トレイン」、「暴行列車」等が挙げられる。良く考えれば普段我々が便利に使う乗り物はこの手の状況下であれば一種のソリッド・シチュエーションになる訳であり、普段使うからこそ感じる恐怖感も作品のクオリティをセルフで上げてしまう効果がある様に思える。

本作は、クライヴ・バーカーのホラー小説、「血の本」の短編を映像化したものになる訳だが、恐らく原作は短編の為、ここまで主人公やその恋人が独自に捜査をする展開は無いだろう。そこら辺はアメリカ映画っぽく作られているはずだ。殺人鬼の設定については深く描かれず、病気なのか身体にイボが大量に出来て、もぎ取ったイボを瓶に入れて保管するという超マニアックなキャラクターである。この殺人鬼はひたすら表情も変えず、言葉も発しないのだが、その理由は最後の最後で明かされる。オチは思わず「そっち?」と声を出してしまう様な展開だが、北村監督らしいゴア描写も相まって楽しめる作品である。
首をたたき切られた瞬間に床に落ちて生首がゴロゴロと転がっていくシーンがあるのだが、一緒にカメラも回転していく様な撮影方法など、北村監督が好きそうな演出が沢山あって、しっかり北村ワールドを体感することができた。

主人公が最初に会う犠牲者が日本人のモデルだったり、ベジタリアンの主人公が豆腐のステーキを食べていたり等、日本文化がちょこちょこ出てくるが、これは製作会社の意図なのか監督の意図なのかは不明である。最初の犠牲者は不良グループに絡まれているところを主人公に助けられるのだが、日本語で"ありがとう"と言った後に主人公にかなり熱めのキスをするのだが、日本人は1000000%そんな事しない気がする。初見時にそれが死亡フラグに感じてしまった。細かな所になるが、あれだけ血だらけの電車をどう掃除して、死体特有の嫌なニオイも消して、壊れた椅子やドアをどう直すのか。普段は通常営業している車両っぽいのだが、絶対に始発から運転に支障が出るだろうと変なところに気持ちがいってしまった。…その辺はご愛嬌という事で片付けて良いのだろう。

クラ
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