「逆行するのは身か心か」ベンジャミン・バトン 数奇な人生 Kremlin Dawnさんの映画レビュー(感想・評価)
逆行するのは身か心か
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『セブン』『ファイト・クラブ』のデイビット・フィンチャーとブラッド・ピットのコンビによる作品。タイトルやあらすじを一読した限りで受けた印象ではヒューマンドラマっぽかったので、この組み合わせで一体どんな映画になるんだろうと思っていました。約3時間という長尺の映画で、途中で眠くなったときもありながら、最後まで観ることができました。老女が語り手となる物語の構造は、ちょっとタイタニックっぽいなぁと思いました。80歳の状態で生まれたベンジャミン。バトンさんはあえて施設の階段に彼を置いていったのでしょうか。クイニーが慈悲深い人で本当によかった。幼いデイジーがベンジャミンに興味を抱いたのが不思議でしたが、彼女との出会いがこの映画の核になっている気がした。老いていくデイジーと、若返っていくベンジャミン。同じ時代を生きている喜びを噛み締めたいはずの二人なのに、肉体はお互い逆の方向へ進化していく。デイジーが少しずつ老いて行くのを見て、人生というものがいかに長いようで短いものかを感じた。そんなスパンの人生も長い目で見たら、二人が愛し合って、キャロラインが生まれて、幸せの絶頂だったころというのは、本当に刹那的な、一瞬のものにしか思えず、グッとくるものがあった。余談ではあるが、この命がある限り、いつかは自分も老いるときがくるのだなぁと考えざるをえなかった。若い時は時間もお金もないが、老いたら体力がないとか言いますよね。今を精一杯生きるというのは、なんだかとても難しく、忙しない。
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