「すべての言葉はさようなら」ベンジャミン・バトン 数奇な人生 ベレエさんの映画レビュー(感想・評価)
すべての言葉はさようなら
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ある人物の一生を描く作品だけに、やたら人の死がでてくる映画だった。印象的だったのは、自らをアーティストだと称する船長の死。元々の出会いは、ベンジャミンが日雇いでその船に乗り込んだだけで、まさかその人物が自分の死を看取ることになろうとは、夢にも思わなかったに違いない。彼はベンジャミンに様々な体験をさせ、様々なことを話した。それは、最期の瞬間まで。
つまり、そういう映画なんだと感じた。人間が必ず死ぬ生き物である以上、交わす「すべての言葉はさようなら」だ。その長いさようならの中で、人は色々なことを思い、互いに浅かったり深かったりする痕跡を残していく。数奇な人生をたどったベンジャミンを媒介とすることで、それが明確に浮かび上がっていたように思う。そういう意味で、この映画はベンジャミン・バトンが口にし続けていた「さようなら」だ。
個人的には、雷に七回打たれた男性のさようならや、ベンジャミンにピアノを残したさようなら、若い頃に心折られた夢を叶えるさようならなんかが、すごく素敵なものに映った。
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