「数奇な人生に悔いなし。」ベンジャミン・バトン 数奇な人生 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
数奇な人生に悔いなし。
今年のアカデミー賞で作品賞を含む最多13部門にノミネート
されている本作だが、なるほどそれも頷ける素晴らしい作品だ。
ほとんどが解説されているとおり、80歳で生まれ0歳で死ぬ運命
を背負った男の人生を描いているのだが、こんなあり得ない話を
まったく違和感なく最後まで観られるということにも驚かされる。
観終えて思うのは、何歳でどう生まれようが、人間は歳をとって、
最後には死を迎えるということだ。時計を逆回りさせたところで
月日や老いを止めることなど出来はしない。それを悲しいと思い、
ビクビクして生きるのが人の常かというと実はそうではなくて、
数奇な人生だろうと伸び伸びと生きることができる証明でもある。
ここに描かれるベンジャミンという男の一生は、ささやかながら
皆の愛に育まれ、幸せで充実していたんじゃないかと私は思う。
それは、彼が常に自分で「生きよう」としたからだ。
子供らしく何にでも首を突っ込み、興味を持ち、外に出ては学び、
「ためになった」「楽しかった」とそれを振り返ることの満足感が
彼を成長させ、恋をすることも(若くなってからは)実践することも
出来るようになった。育ての親たちの愛し方も素晴らしかったが、
彼がもともと前向きな男だったと、私は思いたい(爆)
見た目老人の子供が、少女に恋をするのだ。そう言いながらのちに
人妻と不倫もするわけだ。このバイタリティをあの時代に持つ男だ。
スゴイじゃないか、ベンジャミン!
この作品の素晴らしさは、ほぼ全編にわたって「死」を見つめる
まっすぐな眼差しに溢れていることだ。人の死は悲しいことだが、
避けることのできない運命のひとつなのである。若い頃からそれを
見つめてきた男が、自分の人生を深く考え出すきっかけをつかみ、
ラストの選択をするところなど(これをどう思うかは人それぞれだが)
がむしゃらに生きてきました。的な発想では決してできないことだ。
泣いても笑っても人生は一度きり。ならば今が常に決断の時である。
撮影技術と相まって、ブラピの美しさが心底堪能できた!(喜)
どうだろうか、あの10代の頃の映像なんて…リック再び!?そして
リバーランズ~でレッドフォードの再来と騒がれたあの、笑顔!!
もちろんシワくちゃ顔なんて、今のレッドフォード(すいません)
そのものじゃないか。。あぁ。。老いてもブラピ。ハゲてもブラピだ。
(その数奇な美貌でさらに頑張ってください。アンジーによろしく(^^)v)