252 生存者あり : インタビュー
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第1回:伊藤英明&内野聖陽 インタビュー
――脚本を読んだときの感想や印象はどうでしたか?
伊藤:「これをどうやって映像化するんだろうっていうのが第一印象でした。『レインボーブリッジに高潮がかかる』とか『押し流されるお台場』とか、字で書くのは簡単ですけど……。雹(ひょう)の塊が降ってくるというのも、どれくらいの大きさなのか、どういう密度で落ちてくるのかとか、想像できない部分がいっぱいあって」
内野:「お台場が破壊されるといってもどの程度のものなのか、絵が見えないというのはありました。あと、静馬という男は、唯一無二の肉親である弟をものすごく心配している一方で、職務として一般人の生存者をまずは助けなくちゃいけない。でも、ある瞬間に、どうしても弟を助けたいという個人的な思いに走ってしまう。そういう人間をどう表すかというのが、僕の中では芝居の焦点だなと思いました。祐司は家族愛の話を担当してますけど、こちらは兄弟愛だったので、そこを深くしたいと。台本では描ききれていない部分は、監督にいろいろ提案して、兄弟の絆というのを僕なりに深めていったつもりです」
――もし自分が同じ目にあったらどうするかを考えたりしましたか?
伊藤:「まず自分が生きるということが大前提ですが、目の前に助けを求めている人がいたら、がむしゃらになってしまうと思う。あとは家族や親、兄弟には安否が確認できるようにしておきたい。どこにいるかによって生死がわかれると思うので、地下にいて映画のようなことになったら生還チャンスは少ないと思うし、生きていたとしてもいつ助けがくるかもわからない。日頃の危機管理というのはしていかないといけないなと思いましたね。明日起こりうる現実かもしれない」
内野:「状況によるんだろうけど、助ける側としたら徹底的に。なるべく多くの人を生還させられるようにしたい。いろんなもの背負っているからね、特にこの静馬というキャラクターは……って、静馬じゃなくて俺の話か(笑)。俺だったら……もちろん生きようとはすると思う。残されたものとか思い出すだろうしね。徹底的に生きようとすると思います」
――では、最後に観客にメッセージを。
伊藤:「大画面の映画館で迫力のスペクタクルを味わってほしいということと、あとは極限の中での親子の愛、兄弟や隊員同士の絆という、人と人とのつながりを感じてほしいですね」
内野:「大都市・東京での災害がもはや他人事ではないってことと、人が人を思うことで、どれだけ一生懸命立っていられるか、戦っていけるか。弱さに直面した時にこそどれだけ強くいられるかという人間たちのドラマにも注目してもらえれば。あとは彼の言う通り、ぜひ劇場の大画面と音響でスペクタクルを味わってほしい」