カールじいさんの空飛ぶ家のレビュー・感想・評価
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愛する妻が死にました
洋画アニメも軒並み3D化が進み
そのビジュアルの質も向上し今年は本当に楽しめた
ラスト飾るは「UP」こと「カールじいさんの空飛ぶ家」
興行収益も北米で三億ドルの大ヒット
昨年のWALL・Eを髣髴とさせ期待はあがる
ヒット連発するピクサー作品であればハズレはまずない
アカデミー賞のノミネートも当然のはずだ
美しい映像や愛らしいキャラはもちろんだが
ピクサーのウリはむしろハートフルなストーリーにあると思う
モンスターや超人を登場させたり
車に魚にネズミやオモチャに言葉をしゃべらせ興味を惹くが
土台には必ず心に響く童話的で普遍性あるテーマが置く
今回も泣かしてくれることを大いに期待し鑑賞した
人生の全てともいえる妻のエリーを失ったカールじいさんが
思い出の詰まった家を空へと飛ばし
二人の意志である滝への冒険に出かけていくストーリー
今回、登場人物は意外と普通のおじいさん
風船で家を飛ばすという設定側にファンタジックを用意する
この連鎖的に動く風船の表現はかなり緻密
リアル過ぎないリアルが、空を飛ぶことの説得力のある動きを実現
手の込んだ映像にピクサーの手抜きない職人気質を感じられる
そのプロローグでは冒険に魅せられた少年時代のカールが
同じ感性を持つエリー出会ってから今までのストーリーが描かれる
この人生のダイジェストが、実は本作で一番泣けた
そこにはいつも君がいた・・・。
チラシにもあるこのキャッチコピーは秀逸だ
カールにとってどれだけエリーが特別で失うことが大きいか
悲しいかな、オレはそれに似た気持ちを知っている
じいさんに自分を重ねその淋しさが身に沁みる
ある意味冒険という逃避に出かけたじいさんだが、幸い仲間に恵まれる
太っちょ少年のラッセル、新種の鳥ケヴィン、ある特殊能力持った犬のダグ
まるで鬼退治に行く桃太郎のような布陣になったのは偶然だろうが面白い
その鬼に当たる人物も悲しき理由を持っており
じいさんとの過去の因縁がなかなかうまく絡んで来る
少年ラッセルのパーソナリティにも影があり
当初鬱陶しいと思った少年にカールは幼き頃の自らを重ね心を開く
壁に当たったカールじいさんが
彼にとって革命的な決意をして後半へと物語は展開
カールじいさんがたどり着いた老後はどんなものなのか
ほっこりする後味は今回もちゃんと用意されていた
「くもりときどきミートボール」 は、もしもお菓子が降ったならという夢を
「カールじいさん・・・」 は、もしも空を飛べたならという夢を見せてくれた
最近の映画は、荒唐無稽な子供の頃いだいた夢を豊かに表現することができる
映像技術の向上は楽しさを連れてきてくれ、とても嬉しい時間をすごせる
そのため子供だけでなく、オジサン世代以上にも刺さると思われる
ただし昨今の洋画アニメ比較をしてしまうと感想はやや辛口になる
理由の一つは、環境保護、高齢化社会、都市開発、家庭問題などを挟み
テーマが散漫になったことだ
本来亡きエリーとの夢を叶えるための旅が後半そっちのけになり
序盤のそれに関する感動がなんだかボヤけてしまった
エリーがいない現実を乗り越えていくカールじいさんを濃く描いて
ラストはその部分でひと泣かせして欲しかった
まあ、それは目が肥えてしまった贅沢な欲求だとは思う
今回もお約束の短編作品
「晴れ ときどきくもり」 という前菜がついている
こちらもハートフルないい話
楽しめる作品なことは間違いなしの 2000円
心に残る名作として評価されてきただけに、試写会場でも終了後には大きな拍手に包まれました。
ハートの泉&試写会当選情報コミュから応募のあった7名もの同行希望者を迎え入れまして、試写会へ行ってきました。
全編を通して描かれている主人公カールの最愛の妻エリーへの深い愛情に感動しました。エリーとの死別と再生に向けた本作は、すでにカンヌで絶賛されて、心に残る名作として評価されてきただけに、試写会場でも終了後には大きな拍手に包まれました。
参加したコミュのメンバーからも、泣けた、感動したというメールが送られてきました。アニメ作品ながら、世代を超えて大人の鑑賞にも耐えるどころか実写を上回る深い感動を得られるハイレベルな作品です。
映像面での進化も素晴らしく、皮膚の質感や服の汚れ具合など一段とリアルになりました。また古い写真や過去の時代の表現など、古ぼけたレトロな感じを巧みに描いているところが本作の表現で進化したところでしょう。さらに立体感や奥行き感の描写が素晴らしいことです。上映は2Dでしたが、充分に迫力を楽しめました。でも3Dなら飛行シーンなどもっと浮遊感を楽しめることでしょう。なので3D上映のほうをぜひお勧めします。
それにしても、単なる空想でなく、ちゃんと物理学上の計算をして、約2万本の風船なら実際に映画と同規模の家を空に飛ばせることまで裏付けして描いているところが凄いです。さらに、そのデータを元に、作品のなかでも必要数分の風船を1個1個丁寧に影まで描きこんだと言うから、ピクサースタッフの根気と情熱には、頭が下がる思いです。
ストーリー面では、アドベンチャーなのに老人が主人公であることが異色です。
演出面で優れている表現は、冒頭の約10分が印象に残りました。宮崎駿監督もこのシーンだけで充分満足したそうです。
場面は、主人公のカールとエリー夫妻の出会いと別れ、そしてその間の半世紀に及ぶ仲睦まじさをセリフなしでコンパクトに描いていきます。
10歳のとき冒険好きなカールは、近所の廃屋で同じく冒険好きなエリーと意気投合。その後ふたりは恋愛し、やがて結婚。思い出の廃屋を新居に暮らし始めます。
空の雲が全部子供の姿に映ったこと。その後流産したこと。いろんな悲喜こもごもに思い出が詰まった二人のエピソードをまるで走馬燈のように流していくシーン。とてもシンプルだけど、二人の表情だけでジーンと感動してしまいました。
この導入部は凄く効果的で、その後になぜカールが頑なにわが家を手放そうとしなかったのか、充分に納得できました。 そして、カールとエリーの深い愛が、全編に流れている本作の第1のテーマなんだと気付かれることでしょう。
本作の第二のテーマは「冒険」。その子供心は78歳になっても変わらない、チャレンジスピリットをカールを通して描いています。
わが家が人手に渡ろうというピンチに、カールは家ごと風船に浮かべて、南米の高地を目指します。それは冒険家となって伝説のパラダイスの滝へ家ごと行くことを夢見たエリーとの約束を叶えるためのものでした。カールとエリーが結ばれたのも冒険だったのです。
普通なら、風船による飛行シーンをドラマの中心にした展開を想定することでしょう。けれども本作は、割と早く目的地に着いてしまいます。この割り切り方というか、テンポの良さが本作の持ち味です。
そして本作の第三のテーマは「友情」。冒険の目的は、滝にたどり着くことから寄り道して行きます。途中カールの仲間になったシギという怪鳥が怪我を負ったことで、その怪鳥を家族の待つ巣へ送ってやることに。でもその怪鳥の捕獲を狙う探検家と手先の人語を話す犬たちの登場により、物語は一気に冒険活劇となって、ハラハラドキドキさせてくれました。
仲間になった怪鳥を救うためには、どんな犠牲も厭わないという友情もきちんと描かれているところがいかにもディスニー作品らしいところです。
そしてこの活劇には、たまたまカールの家に飛び込んだ冒険好きな少年ラッセルも活躍します。 その少年目線でも物語が進んでいくので、子供たちにも親しめることでしょう。
ラッセルとの出会いによって、次第に表情が柔和になっていくカールの気持ちの変化にもぜひ注目してください。「エリー、きみが寄こしてくれたのかい?」と問いかけるほど、ラッセルの存在はカールの孤独を癒して、見落としていた大切なことに気付かせてくれたのです。
ヒューマンさだけでなく、ラストは迫力ある活劇に進行していくので、後半もだれることなく楽しめました。怪鳥とカールを追い詰める犬たちの「会話」やオトボケぶりがなかなかユーモラスで笑えました。
全体としてセリフは少なめで、ドタバタがなく、じっくりキャラの所作で表現しているところが、本作の感動を深めているところでしょう。ぜひ鑑賞をお勧めします。
●同時上映の『晴れときどき くもり』
コウノトリの秘密を明らかにした短編。出来損ないの曇りぐもと落ち零れのコウノトリの間のハートウォームなやりとりが素敵でした。本編よりも遠近感が強調されているので3Dで見たい作品です。
やっぱ3D
最近、3Dのアニメでも、試写会で見てたから、ずっと2Dだったけど、やっと3D見れた!字幕で、3Dってどうだろう?って思ったけど、結構平気だった。でも、吹替キャストがいい感じなら、3Dで見るなら、吹替がいいかも。
絶対、3Dがオススメ。
風船に夢をのせて
ピクサーの10本目のアニメーションは
はじめて人間が主人公。
幼なじみの冒険好きのカールとエリーが恋をして、やがて結婚。
子どもには恵まれなかったものの、同じ家で仲良く年をとり、
エリーが亡くなって、ひとりぼっちになったカール・・・
ここまで10分か15分くらいなのですが、
もうこれだけで1本の感動作を観てしまったような感じで
ちょっとうるっとしてしまいました。
妻と長年住んだ家は立ち退きを迫られ、
老人ホームから「お迎え」のくる、その日に
たくさんの風船とともに、家ごと旅立つ・・・・
まあ、アニメだったら、「ありがち」なストーリーなのですが、
このお話、予測不可能の、波乱万丈のストーリーなんですよ。
妻を亡くした後、気難しい気性から
周囲の人とうまくやって行けずに、孤立し、
近所のアジア系の少年との交流・・・といえば、
「グラン・トリノ」のパクリじゃん!
と最初思ったのですが、それも早とちりでした。
「冒険」に同行する8歳の自然探検隊員のラッセル。
なんか、私にはたまんないキャラでした。
アジア系でも、モンゴル系っぽい、
朝青龍の少年時代みたいなこの少年、
真面目でオタクで、正義感あって、ちょっと天然なんです。
かわいいなぁ~
悪役キャラとしゃべる犬の軍団。
ようやく動物が登場してからは
いつものディズニーピクサー映画で、
技術のレベルは高いですが、この辺はお子様むけかなぁ。
予告編でもチラシでも、ストーリーはほとんど公表していないし、
公開までまだ3か月以上あるので、ネタバレはやめますが、
小さい子からお年寄りまで、それぞれの感動・共感ポイントが
あると思いますよ。
独居老人を老人ホームに入れる、というのは
「最良の介護」とされていますが、本当かなあ?
それさえも今は財源不足でままならない状況ですが、
危険だろうが、無謀だろうが、
好きにさせてあげればいいじゃん!
と思ってしまいました。
風船に乗って空を飛ぶ、なんて荒唐無稽な設定なので
まじめに取り合う人は少ないだろうけど、
アニメだからこそ、いえちゃうことってありますよね。
カールじいさんの「夢」は、昨日今日思いついたものでなく、
歴史が深いぶん、入れ込みようが違います。
子どもの「夢」はこれからの人生のエネルギーみたいなものだけど、
カールじいさんにとっては、人生以上のものなんですね。
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