劇場公開日 2009年12月5日

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「期待に反して亡き妻との話が中心ではなかった」カールじいさんの空飛ぶ家 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5期待に反して亡き妻との話が中心ではなかった

2013年5月18日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

楽しい

興奮

総合70点 ( ストーリー:65点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:80点|音楽:70点 )

 予告で見た、長年を一緒に過ごした最愛の妻との思い出が詰まった家を風船で浮き上がられて空を飛んで、昔妻と一緒に夢見た冒険に旅立ったお爺さん。それを見たときはかなりのせつない感動作なのかと思って期待していたのだが、冒頭でそれが出た後はあっさりと普通のピクサー映画になっていた。この部分の掘り下げが浅いのではないだろうか。もっと妻と過ごした家への思い入れとか、妻との話を絡めた物語の本筋があってもいいのではないだろうか。飛び立つ前と飛び立った後で雰囲気がはっきりと変わるし、その前後でのつながりが薄い。自分としては前半の話をもっと見たかった。
 それでその後半の普通のピクサー映画だが、決して悪くはない。十分普通に楽しく見ることが出来た。ただ予想したものや期待したものとは違っていたというだけ。悪役で登場した冒険家のラッセル・マンツ、正当なことをしていたのに世間から嘘つき呼ばわりされて変質的な人間になっている姿はかなりおどろおどろしい。かつての英雄も一歩道を踏み外すとこうなるのかと思うと、彼の運の無さに憐れみを感じて同情しつつ、このような映画にしては随分と人間の性(サガ)がむき出しになっている登場人物だと思って異端な存在だった。
 映像の質の高さには驚いた。石の表面の模様、服の生地の質感、犬の毛まで一本一本わかるほどにコンピューターで再現されてそれらが動いている様子を見ると、日本のように手描きで労働集約的な映像作りはそろそろ時代遅れになってきていて、今後は低価格化も進むであろうCGアニメに優位性があるアメリカに席巻されるのではないかという危惧も覚える。日本のアニメ業界にも時代に合わせた技術の進歩にもっと積極的に取り組んでほしい。

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Cape God