劇場公開日 2009年12月5日

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「風船は“夢と希望”のかたまり」カールじいさんの空飛ぶ家 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0風船は“夢と希望”のかたまり

2009年12月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

いかにもカラフルで立体的な映像で、少年カールとエリーの出会いから、老人カールがひとりぼっちになるまでが描かれる。宮崎駿作品なら、幼くして知り合った男女はゆくゆく恋仲となり、やがては・・・かくあるべきみたいな、男女の恋愛観が純というか稚拙なところがあるが、この作品では粉飾のない等身大の人生がダイジェストで描かれ、かえってじわりと泣かされる。3Dメガネに涙受けが欲しいぞ。
本筋に入ると、色調が落ち着いたものになり、3Dも自然な奥行きを持つようになる。観ていて疲れない。それでいて、陽気さを失わず、程よいギャグを散りばめた演出はいかにもピクサーらしい。大量の風船で家を持ち上げるという非現実的な荒技も、冒頭のダイジェストが秀逸がゆえ、何の違和感もなく受け入れさせてしまうところがすごい。
この大量の風船が象徴するものは夢と希望だ。冒険の過程で風船が少しずつ割れてしまうのだが、そのひとつひとつをラッセルという少年がしっかり心に刻んで受け継いでいく。風船の持つ意味、少年が介入する意味はそんなところにある。だからこそ、老人は次世代に夢を託し、思い出がいっぱい詰まった大切なバッヂを少年に与えるのだ。

相変わらずエンドロールが楽しい。3D作品の料金が下がり、だいぶ身近なものになってきた。ピクサー恒例の同時上映短編(今回は「晴れ ときどき くもり」)も3Dだ。

マスター@だんだん