パンダコパンダのレビュー・感想・評価
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『ムーミン物語』をリスペクトしている
となりのトトロの原型。それは一目瞭然だが、パパがパイプをくわえる行動から『ムーミン物語』がリスペクトしていると革新が持てる。
とてもよかった
以前DVDで見て以来、映画館は初めて。
4歳の娘と妻と初日に見に行ったのだけど、『プリキュア』も初日でロビーはプリキュアの髪飾りを付けた女の子で溢れており、娘も欲しがって、当然『プリキュア』の方が嬉しいはずなのだけど、親のエゴでこちらを見せる。すると、なんと客が我々3人のみの貸し切りだった。子どもが騒いでも気兼ねする必要がない。しかし、興行として大丈夫なのかと不安になる。
子どもは全く騒がず最後まで見入っていた。その上帰り道は「パンダコパンダ、コパンダ」と口ずさんでいて「面白かったね」と喜んでくれたので、胸をなでおろした。『プリキュア』を見せて喜ばせてあげたいのだけど、僕はおじさんなのでどうしても見たくない。
パンダのパパがいきなり家に来て住み着く流れは、現実に起こったらホラーだ。やたらと家具を壊すのも恐ろしい。ミミちゃんは、娘であり母でもあり、『となりのトトロ』のサツキちゃんと同じ図式だ。ミミちゃんがやたらと逆立ちをしてパンツを見せつけるので、非常に気まずい。
夢ふくらむ万人のメルヘン。 まんが映画の決定版!
一人でお留守番をする女の子ミミ子の元にパンダの父子が現れ、一緒に生活をするようになるという中編ファンタジーアニメ。
監督は『太陽の王子 ホルスの大冒険』の、日本が誇る巨匠・高畑勲。
原案/脚本/画面設定は当時アニメーターとして活躍していた、後のレジェンド・宮崎駿。
時は1972年10月、日中国交正常化を記念して中国からランランとカンカンという2頭のパンダが上野動物園へと贈られ、日本にパンダブームが巻き起こった🐼
それを好機と捉えたAプロダクションは、パンダを前面に押し出したアニメーションを企画・製作する。
中心になったのは高畑勲、宮崎駿、大塚康生、小田部羊一など、東映動画から移籍してきた若きアニメーターたち。
本作『パンダコパンダ』が公開されたのは1972年12月17日であり、ブームが巻き起こってからわずか1ヶ月しか経っていない。公開日に着目すると、本作がいかに尋常でないスピードで製作されたか良くわかる。
高畑勲によると日本にパンダブームが巻き起こる前からパンダには注目しており、写真集なども持っていたらしい。事前に知っていたからこそ、超スピードでの製作が可能だったのだろう。
高畑、宮崎、小田部は『長くつ下のピッピ』という、スウェーデンの童話を原作にしたアニメを作るため、アニメ会社の老舗にして最大手である東映動画を退職し、創立して日の浅いAプロダクションに移籍したのだが、原作者から許可が降りず製作中止。
ロケハンなどで得た大量の資料やイメージ、アイデアがあり、これらをこのまま腐らすのは惜しい、ということで本作にドバッと投入した。
日本が舞台のはずなのにミミちゃんのデザインや住んでいるお家が西欧風なのはこのためである🏠
お家にやってきたパンダの父子と疑似家族を構成するという、改めて考えるとちょっとヤバいストーリー。
突然やって来た熊倉一雄ボイスのおっさんパンダが「あなたのお父さんになってあげますぅ。」と申し出てくる、というのは普通にホラー😱
こういう日常に不思議が混ざる物語のことを「エヴリデイ・マジック」といい、児童文学にはよくあるパターンである。
人間味あふれる、間抜けな顔をした丸っこい二足歩行の動物というパンダのデザインはおそらく『ドラえもん』から着想を得たのだろう。ちなみにテレ朝版『ドラえもん』の企画書を書いたのは高畑勲。
『ドラえもん』や『おばけのQ太郎』など、日本漫画・アニメ界においては奇妙な生物が子供の元へやってくるというのはメジャーなものである。
先行作品がある以上、本作がとりわけ革新的な作品という訳ではないが、後に『となりのトトロ』へと繋がっていくという意味では、日本アニメ史において非常に重要な作品だと言える。
キャラクターの可愛さは現代にも通用する普遍性があり、とても50年近く前の作品とは思えない。
おままごとの要素を含んだストーリーは、ちょうどミミちゃんと同じくらいの年齢の子供にとっては身近で親しみのあるものなんだろう。
牧歌的でゆとりのある物語であり、30分程度の中編作品の為、リラックスして観ることができる。
クライマックスの脱力感が素敵。宮崎駿の脚本ではミミちゃんが涙する展開とかがあったらしいが、高畑勲が本作ではそういう形式的な描写は不必要だとして却下したらしい。そのようにエモーショナルな描写を全て排除した結果、どんな時でものんびりとした空気が漂うユーモラスな作品になったのだろう。
決して大人の鑑賞に耐えうる作品ではないが、小さな子供なら現代っ子でも十分楽しむことが出来るだろう。
観賞後には「パンダ・パパンダ・パンダ!」と口ずさんでしまうことでしょう!
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