テネイシャスD 運命のピックをさがせ! : 映画評論・批評
2008年7月22日更新
2008年7月26日よりシネクイントほかにてロードショー
最狂のロック魂映画にしてバカ炸裂映画
「ハイ・フィデリティ」の中古レコード店員に、「スクール・オブ・ロック」のニセ代用教師。暑苦しくも愛すべきジャック・ブラックをブレイクさせたのは、全身全霊でロックを愛しまくるロックバカ役だった。これは偶然でも何でもない。いずれもアテ書きで、JB自身が常軌を逸したロックバカなのだから。
そんなJBが駆け出しの頃、カイル・ガスと結成したバンドが“テネイシャスD”。そのバンド結成秘話(もちろんウソ八百!)をネタにやりたい放題やっちゃった、最狂のロック魂映画にしてバカ炸裂映画こそが、この作品である。
ロック命のデブJBと、すごいアコギ・テクニシャンだがハゲでメタボおやじのKGが、成功をもたらす悪魔のピックをゲットしようと大冒険!という話だが、もう全編うひゃうひゃとうれしくなる(一部の人は間違いなく不快になる)ほど、バカ!
しかし、目の中に炎を揺らしつつ、お下劣ワードをシャウトする彼らは本気も本気。マジでこいつら、すごい才能なのだ。不覚にもカッコイ〜と叫びたくなるロックオペラな熱さと、パロディやトリップでのボケ倒し、そして小学生レベルの下ネタが混ざり合わさって、ザ・うそぶきワールドは脱力の珍展開。豪華カメオ陣も思わずニンマリの機能っぷりで、ロックファン、JBファンなら痺れずにはいられない!
(若林ゆり)