「はー、なるほど。」接吻 77さんの映画レビュー(感想・評価)
はー、なるほど。
女優、小池栄子をしっかり見たことがなかったので気になって、凄いと評判のこのお話を見ることにしました。
小池さんが「全く共感できないから最初は断った」というのがよくわかるような内容。
役作りが本当に大変だったと思います。
人によって受け取り方も、テーマだと思うことも全然変わってくる映画だと思います。
それだけ色んな感情や問題が静かに描かれているのです。
主人公の京子はテレビで見た殺人犯に自分と同じものを感じてから生まれて初めて人生を謳歌しはじめます。
結婚さえもただの手段としてただひたすら一緒に死ぬという幸せに向かって。(坂口が死刑になる日に彼女は自殺するつもりだったんだろうなという私の見解です)
それは他人から見たら理解不能な行動ばかりで、自ら墜ちていってるだけにしか見えないけれど、
でもそれが彼女にとっての正義ですべてで唯一の幸せなので選択肢が1つしかない彼女は迷わないのです。
犯罪者に惚れる女、というとDV彼氏と別れられない彼女、みたいなニュアンスの酷いバージョンなのかなーと思ってましたが全然違います。
盲目で本質がわかってないわけじゃなくて、彼は私がついてないとダメだから…と自分に酔っているわけでもなくて。
だからといって純粋な愛だけかといったらそうでもない。やっぱり歪んだ愛。
彼女を包む闇(過去が気になります)の大きさを経験しないことにはピッタリあれを現す言葉は見当たらないままだと思います。
経験したところで自分ならああいう行動にでるのかもわからない。
もう十分すぎるほど問題提起してるのにこの映画はそれだけじゃない。
見終わって頭を整理してからやっと気付く、
これが三角関係の話だったことに。
「接吻」は多分仲村さんと小池さんか豊川悦司さんのどちらかがするんだろうなというのは予想がついてたのですが、
そうか、そういうキスか。
京子は自分を必要としてくれる、気にかけてくれる弁護士にも恋をしてしまった。
一方弁護士は京子を気にしていくうちに被告に嫉妬するようになって控訴させて二人の関係に溝を入れる。
奇妙で静かな触れることもできない純愛の水面下でのさらに静かな手を伸ばせば届く距離にいる純愛。
京子の最後のは「放っといて」は=「寂しい」だと思います。
見る度に新しい発見がありそうなこの作品は色んな人の感じたこと考えたことを聞いてみたいです。
噂の小池さんの演技はハードル上げすぎてて思ったほどではなかったのですが、記者たちの前で見せた笑顔だけは今でも忘れられません。
豊川悦司さんは台詞が少ない上に何を考えてるかわからないような坂口を見事に演じてました。
ほんとに考えさせられることがたくさんある映画です。
たくさんありすぎて頭がこんがらがってきますがw、観てみたらぜひコメントが欲しいです。