純喫茶磯辺のレビュー・感想・評価
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【駄目駄目男が純喫茶を開店して起こる数々の些細な出来事を可笑しみを込めて描いた作品。そして、𠮷田恵輔監督作品について、少し考える。】
■磯辺(宮迫博之)は、妻(濱田マリ)に家を出て行かれてから反抗期の娘の咲子(仲里依紗)と2人暮らし。
父親の急死で多額の遺産を手にした磯部は突然喫茶店を始めることを決意し、内装、外装ともセンスの欠片もない「純喫茶磯辺」を開店させる。
すると、バイトの募集を見た若くて美しい女性・素子(麻生久美子)が現れる。
◆感想<Caution!内容に余り触れていません!!>
・とまあ、粗筋だけ書くと面白くも何ともなさそうな感じがするが、これが𠮷田恵輔監督の手に掛かると、アーラ不思議、親子関係や客やバイトとの人間関係との人間関係が面白く描かれるのである。
そして、今作ではヤッパリ、”人生の目標は長生き!”と断言する不老の女優さん、麻生久美子さんの魅力と、若き仲里依紗さんの魅力が溢れているのである。
大体、当時仲里依紗さんの現在の活躍を想像した人はどれだけいたのであろうか。キャスティングの妙である。
■𠮷田恵輔監督作品について
・𠮷田恵輔監督作品を劇場で鑑賞したのは、「ばしゃ馬さんとビッグマウス」である。𠮷田恵輔監督とは誰かも知らずに、タイトルと今作のヒロイン麻生久美子さんが主演と言う事で鑑賞したのだが、これが面白かったのである。
あとは、オリジナル脚本である事にも驚いたな。
・𠮷田恵輔監督は、基本的にオリジナル脚本で勝負する、邦画監督では稀有な存在であるところも気にいったモノである。(漫画原作作品は、「銀の匙 Silber Spoon」と「ヒメアノ~ル」と「愛しのアイリーン」位かな。)
・更に書くと、「銀の匙 Silber Spoon」までは、今作の様などこかホンワカする作品が多かったと思う。
・監督の作風がガラリと変わったのは、何といっても「ヒメアノ~ル」である。森田剛氏が演じた強烈な殺人者が主人公で、観賞した時にはビックリしたモノである。
・それ以降は、「犬猿」「空白」「神は見返りを求める」そして、大ヒットした「ミッシング」を次々に公開した事はご存じの通りである。
癖のある登場人物が主であったほのぼの系から、人間の業を描いた作品が多くなって言ったが、𠮷田恵輔監督は、今や邦画を代表する監督の一人となっている。しかもほぼオリジナル脚本である。
且つて吉田監督のインタビューを読んだ事が有るが、その中で監督は”脚本を書き終えたら、映画の8割は出来たようなモノです。”と、仰っていた記憶がある。白紙から形を作り上げる苦しさも語っていたかな。
<と言う訳で、私は𠮷田恵輔監督作品に10年以上嵌っている。勿論、今作も含めた初期作品のゆるーいが、どこか可笑しみの有る作品も好きなのである。
これからも、応援していきますよ、𠮷田恵輔監督。>
やってない!! (準備中) やってるよ!! (営業中)
映画「純喫茶磯辺」(吉田恵輔監督)から。
突っ込みどころ満載の人情コメディだけど、
今回のキーワードは「やる」(笑)
多額の遺産を受け継いだ主人公は、
何もしないでぼ〜っとしているのも気がひけるのか、
「女性にモテそう」を動機に、純喫茶・磯辺を開店する。
普通、お店の「OPEN/CLOSE」を表示する意味で、
「準備中/営業中」と両面に書かれた板をひっくり返すのだが、
今回は「やってない!!/やってるよ!!」だったから、メモ。
これだけだったら、取り上げなかったけれど、
主人公が恋したアルバイトの店員は、
ある事情でワザと彼に嫌われようとするシーンがある。
その時の彼女の台詞が「まぁ、私、やりまんなんで」(汗)
当然、彼はこの台詞に驚き、動揺し、嘘も見抜けず、
その後、その台詞に端を発し、店内で事件を起こす。
そんな時、ふっと思い出したメモが
「やってない!!/やってるよ!!」と書かれた看板文字。
偶然だろうか、監督の遊びだろうか、
こんな台詞が気になった私である。
純粋にヤバい喫茶店。
この監督の前作は観てないのですが、
なんでも男の下心&スケベ度には長けた監督だそうで^^;
それを全然知らずに観た私の感想は、スケベ?というより
やや怖い感じがしましたよ~。犯罪、一歩手前?みたいな。
でもひょっとして、これは練りに練られた脚本なのかしら。
そう思えるくらい不思議な仕上がりなのでした。
ただほのぼのと、親子の奮闘&日常を描いたようであり、
傍らでは今の社会に対する問題提起をしているような…(爆)
興味本位で父親が開いた喫茶店(いや、純喫茶か)に
訪れる客たちがホントに危ないヒトばかりでチト怖かった。
娘を誘うエセ小説家なんて…怖すぎでしょう~?アレは。
(和田聰宏、上手すぎ)
何かされたらどうすんの!?ってマジでドキドキしましたx
いやしかし、この父親からして危ないから^^;娘としては
こういう父親(母親も何だかなぁ)と暮らしていくのは、
大変だろうなぁ~と。親の身勝手でね、離婚はいいけど、
子供はそんな親の姿をかなり微妙に案じつつ、我慢しつつ、
毎日を送っているんですよね。。宮迫、分かりなさいよぉ?
主人公の仲里依紗がとにかく普通の高校生(苦労多いけど)
という感じで可愛かったですね。
父親がバイトの不良女子(麻生久美子、大胆に不謹慎!?)
に入れあげても、なんだかんだとお手伝いに明け暮れ、
母親の居場所を突き止めて、彼女に本音を言うシーンでは、
あぁこの子、ホントにいい子だな。。と思いました。
母親(濱田マリ)も、ホロリとする台詞を言ってましたけど。
その、大胆変貌演技(爆)の麻生をはじめ、脇とは思えない
豪華な俳優陣、お笑い陣、ミュージシャン?などなど
一風おかしな面々を見事に配置させ、サラリとその場を
流してしまうようなこの監督のセンスの良さを感じました。
もっとダラリとした内容なのかと(スイマセン)勝手に
想像していた私は、意外にツボにはまって良かったです。
でも、麻生さんの生き方は最後まで…理解出来んなぁ(爆)
(失礼だけど、宮迫って顔だけでイメージ出せてますね^^;)
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