「本質的には重苦しい内容なんですが」グーグーだって猫である 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
本質的には重苦しい内容なんですが
漫画家大島弓子の自伝的ストーリー。
原作コミックは未読です。
映画は、数多くの漫画家が住む《吉祥寺》とゆうカルチャー文化の街を、様々な角度から世界に向けて紹介する役のマーティ・フリードマン。
小島麻子(大島弓子)とゆう天才少女漫画家のアシスタントで、彼女の作品の魅力と裏話や生活振り。そして自身の恋愛と成長を語る上野樹里。
仕事に追われ、作品を生み出す苦しさからやや欝気味な主人公である麻子。漫画家を志した若い頃から始まり、現在の自分がおかれた立場を客観的に捉えている。
以上3点の話が、主人公麻子の心を癒やす新しい“吉祥寺の住人”グーグーの散歩と共に同時に語られて行きます。
彼女が抱える内なる心の想いが、読んだ人には単なる漫画より“芸術”として人々に愛されているのですが、映画はそんな彼女がいずれ抱える問題を含めて、基本的には重苦しい内容です。
監督犬童一心は、そんな重苦しさを払拭しようと思ってか、雌猫を必死に追い掛けるグーグーの場面での音の使い方や、上野絡みで恋人の浮気現場から発展する追っ掛け場面でのコマ落とし等、随所にサイレント喜劇を想起させる演出を施していますね。
個人的にはそれらの遊びが、作品の本質に合っていたかは微妙な感じを持ちました。尤も観ていて3っの同時進行の話を強引に組み合わせている感覚を受ける気がするからなのですが、本質的に暗い話である内容を何とかしたい…と思うのは理解出来ますが…。
猫好き…いや、ペットを飼った経験が在り“死”を看取った事のある人ならば共感する事間違い無し。
言葉少なで自分を悟り、愛するペットの思い出に生きる主人公の麻子。
ペットに施す“ある手術”はやがては自分へと跳ね返って来る皮肉。
それでも少しずつ前を向こうとする姿を描く。
作品を通して感じるもう一つの主役は《吉祥寺》の街並みで間違い無いでしよう。それ位魅力的に撮られています。
加瀬亮の見下したキャラクターは賛否両論か?最後には「何故居たのか?」と思ってしまう程。
森三中の3人は好サポート。楳図かずおは目立ちすぎ(笑)
(2008年9月13日シネカノン有楽町2丁目/シアター1)