「オリジナリティのないストーリーなら、尚更丁寧に作ってほしかった・・・」春よこい ジョルジュ・トーニオさんの映画レビュー(感想・評価)
オリジナリティのないストーリーなら、尚更丁寧に作ってほしかった・・・
<ストーリー>
尾崎は商売道具である高速艇の漁船を、突然借金のカタに高利貸しに獲られそうになる。彼ともみ合っているうちに押し倒してしまうと、頭の打ちどころが悪く彼は死んでしまう。動揺した尾崎はそのまま高速艇で逃亡してしまう。
それから4年、周囲の白い目にさらされながら、残された妻の芳枝と息子のツヨシは今も同じ町で、生活は苦しいながらも何とか暮らしていた。ツヨシの担任教師で、妹でもある洋子から、ツヨシがいつも交番を覗いている話を聞いた新聞記者である岡本は、迷いながらもその事を記事にするのだが・・・
<個人的戯言>
【♪レ~ジ~メ~♪】
自爆シリーズ第二弾!(爆)「築地魚河岸三代目」に続く、「前時代的典型的紋切型」日本映画。しかしこれを観ると、「築地・・・」がかなりマシな映画に思えてきます。
さして面白いとも思えない話でも、ちゃんと登場人物の心の動きとかを丁寧に追えば、観客に訴えかけるものもあると思いますが、それもないどころか、
・ネタ振り的なものがあった後にほったらかしたり、
・鏡等を使った台詞なしで心情を表そうとしたイメージは安っぽく、
・どんな意味で入れたかわからないシーンもあり、
いくら何でもこれでは「ご年配」の心も捉えられず、喜んでいるのはおそらく、フィルムコミッション絡みの「唐津市の皆さん」だけじゃないでしょうか(当然年齢層高めでしたが・・・)。
【ぐだぐだ独り言詳細】
いったい何がしたくて映画を撮ったのでしょう?ただの観光ビデオ?それにしたって出来が悪過ぎ。
さしてオリジナリティーがあるとも思えないストーリーで大事なことの一つは、丹念に登場人物の心情を描いて行くことだと思うのですが、この作品はどの登場人物の心情の描き方も中途半端。
・正当防衛的な行為だったのに、尾崎はなぜ逃げたのか
・周囲の冷たい態度にも耐え、妻がその土地に残ろうとしたのはなぜなのか
・新聞記者はなぜ波紋を呼ぶ記事を書いたのか
この辺りが過程を丁寧に描かず、いきなり「台詞」でその心情を語られても、観ている方は感情移入など出来るわけがありません。
それでいてイメージのように挿入される思わせ振りなシーンは、全く効果はなく逆にいらないです。そんなんだから
「お涙頂戴」なシーンが突然来るような感じでシラ~・・・
更に意味のないシーンに至っては、別の突っ込みを入れたくなります。
例:尾崎を追う刑事が、記事の掲載後妻にそのことで話し掛けて、さらっとかわされた後、なぜか海に向かって石を投げる・・・宇崎竜童の投げるホームがおかしい・・・しかも石が飛んでいくシーンはない・・・それはいらんか!
こんな映画でも多くの人々が関わり、多くのお金が使われているようで・・・誰も止める奴はいないのか・・・